2 、拳銃
日本は拳銃国ではなく国産拳銃の種類は少ない。拳銃開発は19世紀末からで独特の技術としては民間の日野式、工廠の南部 麒次郎氏が開発した南部式が有名である。南部式は20世紀初頭に出現し8mm南部弾(その後の日本拳銃弾の基本となる)を使用した。その後、南部式が原形になり十四年式が、そして同じく南部氏の開発による九四式が開発された。
二十六年式拳銃
1893年制定。回転式ダブルアクションの騎兵用拳銃。仕上げは良い。独自の9mm弾を使用する。道具なしで分解出来るのが特徴である。大正14年(1925年)まで総数59200挺が生産された。後には機関銃手の補助兵器にも使われ、シベリア出兵の頃フランスが1000挺を購入した。
南部式拳銃
(1902年頃開発、制定されてない)日本を代表する拳銃で、20世紀初頭の日本の開発能力を証明した。甲型は木製収容嚢が銃床になるもの、乙型は普通の拳銃。この2種は大型拳銃と言い、口径8mm。他にこれを口径7mmに縮小した小型拳銃がある。機構は復座バネを銃身左側に持ってきており、グリップセイフィティ(握り締めないと引き金が落ちない)を採用している。
手作りの要素が多く品質的には最高級品である。大型拳銃は命中率が高い。
甲型は2400挺弱、乙型は10300挺(工廠と東京瓦斯電気製)、小型は6500挺生産された。現存するモデルは、甲型はタイ国に輸出されたもの、乙型は海軍陸戦隊で使用されたものが多い。小型は将校用であり、何と1000挺近くが現存すると推定される。現在甲型、小型は市場で一番高価な拳銃を代表している。なお世界の拳銃史上同じ形状の拳銃を大小異なる口径で生産した例は希有である。
十四年式拳銃
南部拳銃を元に機構を簡略化、生産を効率化し、大正14年(1925)制定したもの。復座バネを銃身の両側に2本入れて後ろから見て左右対称にした。軍用拳銃としては扱い安く命中率が高い。昭和の20年間に渡り282000挺が生産された。
写真上の前期型と、写真下の後期型では部品、仕上げなどが若干異なるが全体の形状はほぼ同じである。
前期のものは用心鉄が小さいが後期はこれを大きくし手袋のまま扱えるようにした。後期のものは前期のものに比べて外観は良くないが、回転の機構は大変良い。