7、陸上自衛隊武器学校小火器館の日本の機関銃 2

5、航空機搭載機関銃の数々

航空機搭載機銃にはイ 固定機銃 、ロ 旋回機銃に分類され、さらにイには胴体機銃と
翼内機銃に分類される。給弾は弾倉を使った、弾帯を使ったものに分かれる。口径も最小は6.5㎜から日本軍では37㎜、57㎜のような大口径も採用した。機構も国産の南部から始まり、ビッカース方式(陸海軍の胴体固定機銃)、エリコン(海軍機20㎜)、ブローニング(陸軍12.7㎜から世界最大の57㎜まで)、チェコ、ラインメタル、ルイスなどおよそ世界中の機構を採用していた。ちなみにB-29の旋回20㎜旋回機銃はエリコンだった。
日本では計画的に(特に陸軍機の翼内機銃)また、陸海軍の調整が行われていたら、全体として大きな効果があげられた兵器であった。機銃や武装は墜落機や破壊された機体からは回収できないので、世界中どの博物館に行っても程度の良いものが系統的にそろえられているところはない。スミソニアンは別格であったが、展示はされてなく、収蔵されている。
武器学校には系統的にとは言えないが、程度の良い珍しい航空機搭載機関銃が収蔵されている。数多く作られた海軍九七式7.7㎜胴体固定機銃(ビッカーズ方式)なども展示としてはほとんど見なかった。ここにもない。
現在展示されている機銃は以下である。
① 海軍一式20㎜機銃二号
エリコン社からライセンスを購入した零戦21型翼内に搭載した一式機銃は遊就館ロビーに零戦51型の背後に展示されているが、銃身が短くドラム弾倉60発であった。戦争の進行に伴い20㎜機銃の改良が求められて、日本特殊鋼の河村 正弥博士が昭和17年頃1年間で開発したのがこの形式でこの展示品は給弾器部分も残っている。金属帯給弾200発になり、銃身も長く、弾薬も大型に変えた。
後の紫電、紫電改は翼内に各2門、計4門800発を搭載した。勿論、遊就館の零戦にはこちらが正しい。

 

同館には同じ形の機銃は2門あり、1門はブレン機銃の三脚架に載っていた。三脚架はブレン機銃に戻し機銃は台の下に収納した。これを遊就館の旧型と交換すれば両方に価値があるのだが。
② 陸軍一式12・7㎜
陸軍は一式戦隼の翼がウエブ構造で機銃を搭載できなかったので、開戦当初、胴体機銃のみで戦った。九七重爆導入前にイタリアから双発爆撃機80機を輸入し、それらにブレダ20㎜旋回機銃がついていた。この一式はブローニング方式であるが、寸法はブレダ20㎜弾をつかうもので、南部の川越工場で生産されたものと思われる。

この展示品は未使用状態でどういう経路からここに収納されたかは不明だが、世界で一番状態の良い一式機銃だ。管理人も在米中に英国がビルマから持ち帰り、米国の業者が引き取った、一式機銃(分解してあり、左の側板がない)を2門購入したが、とうとう
組み立てることはなく、一門はリビー教授、もう一門はガルシアが持って行った。

 

6、航空機旋回機銃

① 陸海軍ラインメタル7.92㎜2連旋回機銃・弾倉(ドイツMG-15)

陸軍と海軍が別々にラインメタルからライセンスを購入して製造した。この展示品は名古屋工廠の製造であるから陸軍機に搭載されていたものだろう。弾倉が健全なのは珍しい。弾倉にはダミー弾が数発入っておりその上に実包を押し込んでいく方式だが、バネがとても強い。

アメリカで観たこの日本製のこの弾倉は大体、バネが壊れていた。機構はチェコ機銃。
武器学校で弾倉が外れないと言っていたが、写真で気が付いた、両方のこう棹を手前に引いておかないと外れないのだ。

② 陸海軍ラインメタル7.92㎜短身旋回機銃(ドイツMG-15)
陸軍九八式、海軍一〇〇式、サドルバック弾倉、ショートリコイル方式
この実物は陸軍のものである。海軍のものは左手の把握部を装着してある。

7、訓練用機関銃

何十という種類があり、全国の学校、青年学校などで使用された。豊川にあった金山は訓練教材製作所の大手であった。また多くの訓練教練教材の製造所は戦争末期には実物の兵器を製造した。

①金山式九六型軽機関銃

仕組みはブローバックで簡単な機構だが、弾薬はどういうものを使っていたのだろう。狭窄弾か空砲か、アメリカではこの機銃も規制を受けるので、狭窄弾は発射できたのではないか。(弾倉は別物)

8、対空機銃

日本の対空機銃はホチキスが元になっている。海軍が艦艇用にライセンスを購入し
13.2㎜、25㎜を、単身、双連、3連にして、戦艦大和には最後には100門搭載していたそうだ。
①九八式(1938)20㎜
陸軍が採用し、飛行場防空に使用していた。これはその砲身だけだが、245㎝の長さがある。屋外に置かれていた形跡はあるが、フェアなコンディションと言って良い。単身の場合は大きな車輪架に載っていた。

何とか上を向いた展示をしたいのだがとにかく大きなものなので、地震などのことを考えるとこれが最適かと思う。