火縄銃



 4-1、口薬の作り方と注意

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火縄銃の火薬は筒内に入れる発射薬と、火皿に盛り着火させる口薬(くちぐすり)のふたつの種類を使う。元は同じ火薬だが、口薬は火縄の火が着火しやすいように粉状にしてある。普通の粒状になっている火薬は火縄の火を付けても着火し難い。最も西欧の火打ち石銃は戦闘においては、筒内に入れる火薬をそのまま火皿に入れていた。しかし競技では火縄銃と同じように良く摺った口薬を使用していた。学会で火薬の発表をした方から口薬はどう作るのですかと聞かれたが、「乳鉢で摺るのです。」と答えた。「乳鉢がなかった時代は?」「薬げんですよ」と。

半分くらい摺った状態 粒から粉へ
粒火薬を粉火薬にしてしまうと、どうも性格も変わるようだ。「発射薬が一発足りないからと、絶対に口薬を入れないように」と言う注意はよく聞いた。
なぜなら同じ分量にしても含有空気の具合か、爆発力が大きいのだ。逆に管打ち銃など、尾栓が開かないもので発射薬を入れずに弾を入れてしまった場合など、管(ニップル)を外し、口薬をその細い穴に入れて、また管を付け、パーカッションで発射すると、弾は出た。
黒色火薬は生火により着火するので、いくら摺って摩擦や衝撃があっても発火することはない。但し、乳鉢に異物が混入していると危険だ。

口薬の作り方と管理:

1、 乳鉢・摺り棒を用意する。外国での競技会参加でも火薬類は運搬できないので、乳鉢と摺り棒を持参する。外国の火薬は粒の種類が多い。大体5種類はあり、一番小さいものを口薬に使用する。日本の火薬は1種類だが、硬度は柔らかいようだ。


じょうごも必要
2、乳鉢に適量、あまり多くの火薬を入れると摺り難いので、少しずつ摺るのが良い。
3、 摺る作業は乾燥した日の乾燥した場所を選ぶ。
4、 競技に使うものはボンドの小さな容器を使う。演武や古式大会は下がり蓋の古い形式 なものが良い。腰に根付けで止めておき、手を離せば自動的に蓋が閉まる。

 

 

5、 内部にはその日に使う量プラスくらいにしておき別に管理するのが良い。
容器に入れて置くとどうしても湿気るからだ。道具一式は一つの入れ物に収納しておくのが効率的であろう。

 

乾燥材は必需品
射撃中の注意としては容器の蓋を必ず閉めると言うことだろう。一度、演武で
容器に着火して火傷をした事故を観た経験がある。理想的には使用の前にもう一度
乾燥した場所で、容器から出して乳鉢で摺りなおすのが良いらしいが。
口薬は危険なものなので、くれぐれも火縄の火と離れていることを意識しておくことが必要。
以上。