2 、いわゆる半弓(長弓の4分3)

半弓を文字通り捉えると弓長1mほどの短いもの、短弓になってしまう。
ところが1mほどの弓はほとんど見ない。(この原稿でも短弓に一例)

「半弓」と呼ばれる小型、弓矢の組はほとんどが豪華な造りである。しかし寸法的には半分ではなく、長さ160㎝と本弓の4分3程度の長さであり、矢長は約72㎝である。どうもこの寸法の弓を「半弓」と呼んだのではないかと推定する。使い易い、威力はある。また数も比較的残っている。特徴は仕上げが美しい、握りが半分よりやや下、まん中に近い位置にある。弦は反対に掛ける。

1、 豪華な組である例

材料は鯨のひげが使われており、内側は木製金色で、籐の照準がある。矢入れには下がり藤の紋が入れられている。弓長160㎝、矢長72㎝

握りの上の照準

2、半弓の例2

これも豪華な作りであり、握りの上下に14の巻きがある。握りの革にも模様がついているが、この弓の特徴は幅が広いことだ。約30㎜、弦を張ると表は金色に塗ってあり複雑な模様であり、裏は赤い漆模様だ。

矢は2本しか残っていないが、この弓とまったく同じものを他で見た。対であったかもしれない。矢長73㎝

3、半弓の例3

作りが一般の弓の近いもので縮小したもの。複雑な巻きである。上部は15巻き、下部は10巻き。重籐の巻きである。握りの革は帯を巻いた方式で芯には紙が入れてある。矢はないが恐らく70㎝のものを使用したのであろう。

長い弓と短い弓を射る侍たち

猟をする侍クラス?

猟師の弓は明らかに短いものであった。この寸法の弓矢は猟に使用されたものではないかと推定できる。
北斎漫画より
本弓の定尺7尺1寸は戦闘では騎乗、徒歩で使用されたが、野山を歩きまわる狩猟には長過ぎたのではないか。「甲冑着用次第」の図でも「半弓」と書かれている図は、本弓の半分の長さではない。

 


弓矢で鴨をこのように射た名人がいた。