6 、弓矢の装具

江戸期に日本では弓矢による戦闘はほとんど皆無であったが、大名行列などの錦絵を見ると弓矢は袋を被されているか、矢と組みになり優雅に持ち運ばれていた。

広重画

1、 弓矢台の被い

弓矢台の上には家紋が入った木製の枠に皮革を回した17㎝Ⅹ13㎝ほどの被いがあった。二つの部分に分かれていて、各々から矢の羽の部分が出た。

これひとつでも凝った作りだ。

2、 鞘

弓の先には皮革に家紋を入れた30㎝ほどの鞘が付いた。弓の中では一番弱いが大切な部分だからだ。内部に革紐が入っており、弓に括り付けたようだ。

あまり見ない珍しい装具だ。

3、 皮革製の弓入れ

230㎝はある長い皮袋で、赤い漆仕上げで、葵の紋が2個入っている。真ん中と上。紋の入ってない側を担いだものと思われる。

まん中の部分

4、 稽古用用具入れ

皮革製で表面の加工が凝っている。細かい矢羽根を漆の手書き。30x20㎝

5、 現代の稽古具と収容嚢

と言っても半世紀以上は前のもの、会社に弓道部があり、伴 七三雄氏と言う慶応義塾体躯会弓道部出身のシニアな人が指導していた。勧業銀行(日比谷)に道場があり、そこで練習した。部が廃部になる際いただいたもの。
手袋、手袋入れ(このドットの模様も手書き)、弦巻きなど

手袋は親指、人差指、中指が入るボクシンググローブのように帯で手首を固定。

手袋入れの皮袋は円筒型で、長さ25㎝、直径9㎝、弦巻きは外径12・5㎝
幅25㎜。

北斎漫画 の弓を射る侍、右の弓は短い弓だ。

6、 弓本体と弦を支えるもの

弓についていたものだが、大きな輪に弓、反対側には弦が入るのであろう。
長さ10㎝、幅3㎝ほどのものだ。
射た際に弦が逆に振動しないようする役目があると思うが、長い紐の使い方が
分からない。珍しいものであることに間違いないが。

7、 稽古用の巻き藁

直径1m、長さ2m以上

北斎漫画より

8、 的

上が「陽的」。下が「陰的」直径8寸 距離15間

その他の的

騎馬武者は母衣を前にたらし矢を防ぎ、板の楯も使用した様子。