13、これが本当の『半弓』か?
今までの分類では長弓、全長約210cmの3分の2の長さの弓が比較的多く存在しており、その矢や矢籠も見るので、これらが所謂『半弓』だとしていた。
しかし、先日、24本もの短い矢を発見し、これらを修復した。
太さや鏃の様子から練習用ではなく実用に使われたものであったであろうと
推察できる。
良い感じに修復できた
まず矢を説明すると、矢も鏃も良い状態であった。矢羽根だけ修復した。
鏃は出ている部分だけで30㎜、断面は角で実用のものだ。
矢の全長は58.5㎝ある。
実用の矢は100㎝くらいなので、半分にすると長いが使い勝手を考えると実用的だ。
鏃は鋭い
弓の収集物からこの矢に合う弓を二張り見つけた。
一つは全長が105㎝、藤巻きが17ある。(欠けている部分もあるが)
もうひとつは全長が103㎝、藤巻きが25ある重藤であろう。
上が重藤、弦を掛けると逆に反る。弓は同じ方向を向いている。
いずれも長弓のように単純に反対側に曲がっているのではなく、複雑な曲がりである。握りは下から45㎝くらいのところで、大体真ん中だ。
弦を掛ける部分の太さは約10㎜で頑丈だ。
セットにしてみるとどちらの弓にも矢は合う。
この弓を射るわけにはいかないので同じような弓と矢を新たに製作してもらい、どの程度の射程、精度、威力があるかを実験するのは意義のあることであろう。
北斎の画を観ると、侍、猟師、射ている弓は長弓の三分の二の大きさのものだ。
長弓ではない。北斎がこのあたりをいい加減に描く訳はないので、三分の二の
大きさの弓は練習に猟に一般的に使われていたものであったのだろう。
二分の一の弓はではどういう機会に使用したのであろうか。
北斎の画にも半弓を射ているものは見ない。
そして長弓の三分の二の大きさも弓矢は何と呼称したのであろうか?
(この項以上)