14、本当の『半弓』とはこのような形で存在したのではないか。

13、の項で全長が鏃をいれて58㎝の矢を数多く発見し、修復し、
以前から所持していた同じような矢と合わせ、相当数になった。
弓は長弓の半分くらいのものが3張あり、そのうち1張は骨製で太いもので
あることを書いた。
更に調べてみたらこの寸法の弓と矢に合致する矢籠を見つけた。
矢籠は二つあり、長いものと短いもの。いずれも下から24㎝ほどのところに切れ目が上手に作ってあり、帯にはさみ込むようになっている。一つは上手なもので家紋が入り、平根の矢も含め11本が、もうひとつは短く実用的で矢は10本入る。

① 矢籠全長55cmで革袋の幅は12㎝、平根矢が入るもの。
この形式は弓を上と中間で何らかの形で押さえた方式で上品である。
出来も良い。(平根矢はない)image001

紋は「下り藤」会津方面から出た

② 矢籠は35㎝と短いが、弓が矢袋の中に収まり、途中で弦が籠に支えられる
方式、実用的である。腰に弓と矢を納めておいて、直ぐに取り出して使用できよう。矢籠の上部は穴のあいた板で矢は1本ずつ収まる。image002

③ 矢籠はないが、弓は本格的な太さがあり、長弓の半分の長さであり、恐らく
① ②のような何らかの形式の矢籠があり、携帯用としたものだろう。

image003

 

従って、結論からすると『半弓』と言うのは文字通りとらえたら、やはり
長弓7尺1-2寸(210㎝くらい)の半分の長さの弓と矢を使用した、狩りや自衛に使う実用的な弓矢であったのだろう。
(この項以上)