火縄銃



 4-3、火縄の扱い方

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火縄銃は発火に生火を使うのが特徴だ。黒色火薬は衝撃では発火しない。発火方式には、古くから火縄、火打ち石、摩擦熱(フリクション)、雷管(パーカッション)などを使用した。火縄銃の利点でもあり、弱点でもある。火縄が順調に燃えている際、発火は順調である。しかし湿気やその他、自然条件で不発が起こる。かって火を起こすことが困難な時は、火縄は火を維持するため、また信仰の対象にすらなっていた。火が人類の生活を変えた名残であろう。

古い時代の火縄を時々目にすることがあるが、竹繊維や木綿縄など様々な材料を使用していた。現在は100%木綿のロープを使うが、今でも竹繊維で神事用に
製作するところが三重県にあるそうだ。

竹火縄古いもの

 

作り方

実は100%木綿の縄はなかなかない。国際前装銃射撃連盟から600m単位で発注があったほどだ。恐らく日本で製造しているものが唯一の純木綿縄であろう。
太さは7㎜。純木綿の縄か、ナイロンが含まれているかは、先端を燃やしてみるとナイロンは黒く筋状に残る。純木綿はそのまま灰になる。

巻き火縄と切り火縄

火縄として加工するのは、硝石を煮込むのである。色を付ける場合もある。各流派により、赤は戦闘用とか、黒は雨用と言うように分別したと言われている。
良い火縄は含まれる硝石の量で判定されるのだろうが、硝石が少ないと立ち消えたりする。多いとぱちぱちとはねる。煮込む湯と硝石の量は秘伝であろうが、そう難しいものではない。湯の硝石を飽和量入れ、つまり溶けなくなるまで、縄を入れむらなくかき回す。鍋の中で少し時間を掛け、出した縄を乾かす。表に白く結晶が出るようであれば硝石が多すぎる。

色で用途を区別した

その場合は縄を何かに叩きつけて硝石を落とせばよい。
演武団体で安全に不発を少なくしたいと言う要望があったが、火縄は湿らせるとカビが生えるから乾燥したところに吊るしておくのが良い。
火縄の使い方)大別し3通りある。
① 180㎝位を巻いて使う、②1m位の両端に火を付けて使う、③5㎝位に切って使う
火挟みとの相性は重要である。 7㎜、8㎜位の太さであれば大体、どんな鉄砲にも合うが、緩いのは良くない。遅発、不発の原因となる。太すぎると火挟みに装着するのに時間が掛る。

火縄の取り扱い)通常、一旦火を付けるとなかなか消えるものではない。また
長い火縄の途中に着火するとやっかいである。それ故に長い火縄は巻き腕に掛けて、射撃に便利なようにした。巻き方は3-4重の腕に入る輪を作り、その輪に画像のようにきちんと巻いて行く。輪を左腕に掛けたまま、銃に装填、装着する。短くなると輪を外側に回すと出ている部分がほどけてくる。小細工の利いた使い方だ。


現在の射撃の際の管理) 国際規則で、火縄を入れて置く缶を用意しなければならない。何も用意がない場合は飲み物の缶を使う場合もあるが、画像のようなしっかりした缶が良い。銃への装填の時は火縄の先は缶の中に入れて置く。火挟みに装着する際に、蓋の金属のところで先を潰すのが良い。先が燃えて尖った状態で装着すると、口薬への着火が良くない。先が開いて燃えている状態が良い。

射撃が終わったら、火縄の先をハサミで切り取り、燃えている部分を缶の中に入れ蓋をして消す。地面の上でこすったくらいでは完全に消えてないことがあり、帰りの電車の中で入れ物の中でくすぶり始めたと言う話も聞いた。危険だ。

昔の火縄の管理

古い時代には火縄を入れて、燃えている状態で身につける道具、「胴火」と言う
金属製の小道具があった。これは丸い部分に火が絶えずくるように繰り出しながら帯に挟んで使用したと言われている。雨中でも火種を保持できる。
また胴乱の負い紐、早合の負い紐類は全て火縄として利用できるものが使用されていた。硝石を煮込んだものかは明確ではないが、前線で火縄が不足した時には使われた。