3、鎧櫃(よろいびつ)
鎧・兜・甲冑やその付属品(小旗、軍配、采配、衣類など)を、収容、運搬、展示するための箱である。箱は縦型と横型があり、節句飾りなどは横型であるが実物は見る限りほとんど縦型である。縦型は2個で一組のものもあるが、大体は1個に入れる。諸元は縦型の場合、左右39㎝ほど、高さ53cmほどの長立方体で、四隅、角を鉄板で補強してあることが多い。
材料は板、竹編、紙、皮革、それらの組み合わせなど様々であるが、ほとんどが漆仕上げである。運搬方法は背担ぎ、棒担ぎ、兼用など。
表面には「前」「後」と表示され、左右には家紋が入っていることが多い。
①1、で紹介した五枚胴の鎧用の櫃。鎧兜は桔梗紋で統一されていたが、
この櫃は柏紋。内部に二つの兜(同じ様式だが浅いものと深いもの)が入り、
その他全てが秩序良く収まっている。
2、で紹介した旗、軍配、采配、着物、小物、足袋などは別な入れ物があったのだろう。入れて入らないことはないが少し窮屈である。
材質は木板で、皮革を張り、緑色に漆で仕上げてある。角や隅は金具で補強されている。U字型の金具が左右に裏には鍵が付いている。
緑に縁の赤がしゃれた配色である。
② 井伊家系の櫃
赤い井伊家の紋の入った鎧一式が収納されているが、兜、胴、面ぽう、前垂などを除いて布地は再製作品の演武用である。布地が元のままである方が珍しい。
材質は板に漆塗り。頑丈な造りである。(鎧は後に紹介する)
③ いちょう紋の櫃
お貸し具足が収納されている。材質は竹を編み籠にして和紙を張り、漆で仕上げてある。防水性にも優れているようで、軽い。お貸し具足は後で紹介する。
④ ○に上、の紋、源氏村上家
ブログで紹介したら、識者より「珍しい、木曽の村上家か村上水軍の系統」ではないかと言うコメントをいただいた。
やや小ぶりながら胴が膨らみ優雅な造り、材質は木材であろう。
担ぎ棒を入れる方式が蓋も使う珍しいもの。
(板橋郷土資料館)
⑤ 葵紋の木箱
黒漆塗りであり、金で葵紋が描かれている。
⑥ 「前と後」の表示
節句飾りに多く前後は描かれている。
⑦ その他、家紋入りの鎧櫃
⑧ 家紋のないもの
(この項以上)