5、鎧甲冑着用法の例

①刀の下緒(さげお)止め方「下緒留様」
大小の刀を着用した胴に締める方法を示した図である。

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火縄銃演武などでは短めの脇差を一振だけ差して行うこともあるが、演武とは言え鎧甲冑の類を着用すれば、大小の刀を二振胴の左に差さなければならない。
これがなかなか難しい。着物や稽古着なら袴の帯と着物の帯を使い身体に密着させてかなり確実に大小の刀を止めることが出来るが、鎧には止めるところがない。この図では大小2本の下緒(さげお)を利用して交差させるように胴に廻す方法が示されている。栗型を使うので、それらが外れれば緩んでしまうが
鞘自体と2点で固定されているので、大小の刀の角度を調整できる。

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この武士は装具から判断するに、中級の侍頭クラスであろう。

②兜の名称と帯の結び方
兜には以下の三種が「具足着用の次第」に掲載されている。
兜の頭への固定は中に綿の入った太めの帯を兜内3か所の固定環を通して耳の
横にたらし、前面に来たもの顎にそして左右そこを通して顎の前で結ぶ。

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「忍の緒」と言う。
兜は鎧本体とデザイン、造りが対になっていなければならず、「立物」と言う
前、脇、後、上にさまざまな形状の飾りを付けた。

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いずれもデザインと造りの良さが鍵で、武将の自慢であった。
(この項以上)