2 、刀剣の特徴と文化

刀剣は武士階級の象徴であり、このように武器をもって階級のシンボルとした例は世界には多く存在するが、1人の人間が大小2振を腰に差す例は少ない。象徴的存在となっていたので外装にも気をつかい現存する外装はその持ち主の趣味、特に戦国期以降はわびとさびを表現した。その代表例が鍔(つば)である。ほとんどの日本刀は木製の鞘に収められ他の素材のものは極めて少ない。 脇差しは江戸後半台頭してきた他の階級にも名字帯刀と言う形で許され、そのために現存する脇差しは刀より多い。 日本刀剣は日本の戦いの歴史を歩んできた武器でありそれがどのくらいの数量存在していたものかは知ることは出来ない。武家一軒には最低数振りは存在していたであろうし、秀吉の刀狩前には恐らく数百万振り存在していたであろう。戦国時代はあらゆる階級の自己防衛の手段であったはずだ。明治維新後の廃刀令の後もほとんどの刀剣は破棄されることなくどこかに保存されていただろう。海外にも多くの収集家が存在している。

刀剣の鑑賞

刀剣の鑑賞は戦国時代以降、日本の武士階級の洗練された趣味の一つとなり、江戸時代において専門家の台頭とともに侍が知るべき嗜みとして確立、現在でもその愛好家は多い。 鑑定入札会は、刀剣の時代、地方、作者などを茎(なかご)を隠し、刀身のみを観察して当てるもので、刀の目利きになるための勉強会と言ってもよい。 鑑賞の着眼点は以下の刀剣の特徴である。

全体の姿

反りの場所、長さ、厚さなど

地鉄

肌の様子で、梨子地肌、板目肌、柾目肌、綾杉肌、こぬか肌、ちりめん肌、地景と地班などである。

焼刃の動き

日本刀の刃に入れられた焼き(鉄が鋼くなった状態)は観察出来、その姿形は刀の特徴を表す。これを鑑賞するのは、侍階級のみならず文化人の趣味の一つであり、現代にも続いている。足、葉、金筋、稲妻、銀筋、二重刃、三重刃、焼出し、水影、掃影、ほっし、飛び焼きなど。

地鉄

肌の様子で、梨子地肌、板目肌、柾目肌、綾杉肌、こぬか肌、ちりめん肌、地景と地班などである。

焼刃の動き

日本刀の刃に入れられた焼き(鉄が鋼くなった状態)は観察出来、その姿形は刀の特徴を表す。これを鑑賞するのは、侍階級のみならず文化人の趣味の一つであり、現代にも続いている。足、葉、金筋、稲妻、銀筋、二重刃、三重刃、焼出し、水影、掃影、ほっし、飛び焼きなど。

焼刃の種類

直刃(細、中、太)、丁子、互ノ目。直刃(すぐは)は焼きが真っ直ぐ縦に入ったもので、丁子、互い目は波をうっているものである。

帽子

日本刀はほとんどの場合、片刃である。その先端は鋭く、焼きが入った部分が背の方にまで延びているのが特徴である。その焼刃が廻っている様子を「帽子」と言う。この部分が見えない刀身は先が欠けたものと言われる。

茎(なかご)

握りの部分で刃はなく刀装の中に入る。ここの錆色とやすり目を見る。

刀の疵と欠点

刀身は主に製作の過程で出来た様々な欠点が見られ、それらは実用にならないものと鑑賞に問題があるものがある。実用にならないものは、刃切れ、烏口などでそこから刀身が折れる危険性がある。其の他鑑賞に問題があるものは、刃からみ、しなえ、ふくれ、鍛割れなどと呼ばれ主に鍛錬の際に出来たむらとか、焼き入れの失敗である。また歴史を経てきて、何度も砥いだものを、つかれと言う。

居合い(道)と剣道・剣術

剣道は防具を付け竹刀を使う。竹刀の握りは丸く、実物の刀剣の柄(つか)は楕円である。また実物の刀は木製の鞘にきっかりと 収納されており、これを抜く、切り付ける、収納するの一連の技を鍛えるのが居合いである。居合いにも幾つかの流派があるが、 真剣を鞘から抜く、切り付ける、収める、残心の一連の動作を幾つかの形としてまとめてある。基本的には座った姿勢から始める が、立ち居合いの型も修行する。鯉口を切る、と言うのは刀を鞘から抜く為に少し緩めることを言い、鞘の手元に近いところを左 手で握り絞めると、鞘の紐通しの出っ張り、栗型と鍔の間が広まり、収まりが緩む仕組みである。繊細ながら良く出来た仕組みで ある。侍は剣術を修行し、道を極めたが、剣術は実際の刀剣を使ったやりとりと異なるので、居合いも修行し、真剣の扱いに慣れた。剣道、居合いの修行はする者の姿勢を良くする。
日本刀は他国の刀類に比較すると鋭く、折れ難く、軽く、突きも払いも出来る白兵に強い武器で日清、日露の戦争でその実用性が再評価された。

刀剣の製作と審査

日本は比較的早くから鉄文化が発達しており、刀剣製作の歴史は長い。古代の古墳の中から直刀が多く出ている。日本の刀剣の素 材は砂鉄からタタラ炉で作る玉鋼で、それを鍛冶が何回も焼いては叩くを繰り返し(鍛錬と言う)不純物を取り去り、(槌で叩いた時に火の粉となり出る)鉄の質を良くしていく。刀の形になったところで、刃を焼き入れる。焼きを入れるところと入らないと ころは、特殊な粘土をその上に塗り付けて、温度差を捻出した。赤く焼いた刃の部分を液体に付けることにより、固くし焼きを入れ、刃にした。当然、焼きを入れた部分は固く鋭いが反面脆い。焼きの入ってない部分は柔らかいが弾力があり折れ難い。これに皮と呼ばれるまた質の異なる表面、これらの3種の性格の鉄で構成され、折れず、曲がらず、切れる、日本刀が出来るのである。これを押し鉄と言い、ここまで造りこまれた刀身に鑢と掛けて大体に形に整える。反りは焼きを入れる際に入る。
表面を石で研ぎ出し、最後は指先に付けて雲母片で磨いていく、製作も研ぎも時間の掛かる手作業である。鍛冶の作業には上質な炭が不可欠であった。
現在の日本にも優秀な刀工が各地に多く存在し作刀を続け伝統を守っている。現在存在する刀剣と古式銃砲は武器の類ではなく美術刀剣、文化財として個人に保持が許されるので文化庁が発行する登録証が必要である。この登録証審査は、地元警察が発行する発見届けが必要であり、各県の教育委員会が専門の審査員に委託しその刀剣の 価値を審査しそれに合格すれば登録証が発行される。これは新作の刀剣にも同じである。登録証はモノに付いており、譲渡の際は届け出が義務付けれれている。しかしこの制度も日本の他の制度仕組みと同じく若干形骸化の傾向が見られる。また審査員をビジネスとしている専門家に委託するのも問題があろう。