7、十手など特殊武器
十手に関する武器は戦国時代の兜割と言う鉄棒に発し、江戸期には同心など
治安をつかさどるある身分以上武士がその証明として袋に入れ持参したと
言われている。全長が30から100㎝くらいまであり、実用のものは長く、
江戸期のものは短い。江戸期には目立たぬよう懐に入たり帯に差したからだ。
典型的な江戸期の十手
だが短いものでも打ちモノ武器としてはかなり実用的であり、棒の横に出た鉤は襲ってくる刃を挟む用途に使った。鉄質も良く、手もち具合のバランスも良い。
棒の先の打つ部分断面は○、六角、八角などで、このものは八角である。
また鉤を棒へ付ける方式が特殊である。棒に孔を開け、鉤の先を入れ、かしめてかなり頑丈に作ってある。現存するものの大体9割が贋作と十手研究科の名和弓雄先生は言っていたが、贋作は鉤を溶接する、沸し付けにしてあるので見分けが付く。輪も廻らないものが贋作には多いそうだ。
この現物は全長29.5㎝、先の太さは12㎜、反対側の輪の幅は30㎜である。
鉤中心位置は先から17.5㎝、輪の先端から12㎝である。
重量は230gである。
握り部分は9㎝、明らかに片手で握るものだが、直径が9㎜しかない。
この部分には細い紐を巻き、その紐は当然滑り止めになるが、捕縛する、
輪に取り付け投げる、など様々な用途に使用したと言う。輪には房を付け
持ち主のランクを示したとも言われている。
以上、刀剣関連の武器の例として。(この項以上)