5 、洋式銃の照準器
日本の火縄銃のその特色のひとつは照準器にあることは間違いない。
和洋を問わず前装小銃照準器は滑腔銃とライフル銃ではその性能の差から形状が異なる。しかし日本では滑腔火縄銃の照準器は多種多様で、なかには現在では使い方の論理が分からぬものもある。これは別な課題として残し、今回は、
洋式銃の、西洋式照準器と、和式照準器例を観る。
1、和式管打ち銃の照準器 完全に和式である。しかも照門はかなり先にあり、注文生産したものと思われる。
2、スプリングフィールド1861年型の照準器の照門は3段階になっているが、数字が記されてない。1段と2段は90度折り曲げた板で、3段は立てる。銃の長さ(三つバンド)から1段は3-400m、2段は数百m、3段は1000mと考えて良い。
下が前、照準器自体は銃身にネジ止め、V字型。このスタンド式の3段はバネがないので、発射、操作で倒れてしまう恐れがある。下の画像は1段を後ろから見た様子。
同照星
3、エンフィールド銃
二つバンドの短い形式の歩兵銃でスプリングフィールド銃より高級品であった。タンジェント型の横軸(この例では欠落している)を前にスライドさせることにより照門をあげて、遠くを狙うようにする方式。
尺の右側には数字が上から、10,9、8・・4まで刻まれている。
基本は400mで、立てた状態は1000mを意味しているのだろう。
この銃は横軸を取ってしまっているので、2-300mになっている。
競技では横軸のない照尺ではオリジナルと認められない。
同照星 台が四角い。
4、国産ゲベール銃(管打ち、滑腔)は外国製のものと異なり照門が銃身の後部(尾栓の上に)にある。吉久製、三つバンド、口径16㎜ 例
ハンマーは外してある。
同照星 この手の銃の特徴としてバンドの上にある。
5、国産ゲベール銃二つバンド 堺製 口径18㎜ 例
かなり精巧だが、管(ニップル)が邪魔をする。
照星はバンドの上
6、和製洋式銃床管打ち銃(猟銃)の例
ドライゼ型の和製銃だが、照準器は日本式である。しかし細かいところでどこか工夫がある。注文の猟銃だったようで半銃床(ハーフストック)
口径12.5㎜
この照星は前から見たところだが筋は細いが横が内側に傾斜しているところが特徴である。見易い。
精密に造られた照星には縦に筋がある。使用用は不明だが。
以上、6種の例を紹介した。