1 、屠竜 キ45改
日本の代表的複座戦闘機だ。この胴体のみがB-29 エノナ・ゲイの下に置いてあるのは意味深長な部分がある。「屠竜」はビルマ戦線でフライングタイガーズが撃墜したとアメリカでは大いに宣伝したらしい。川崎航空機で1700機が製造された。陸軍が採用したのは1941年で制式には「二式複座戦闘機」と言う。
昔の職場で部署は違うが阿部と言う人がいて彼の父親が山口県小月の第十二飛行師団阿部師団長だった。小月では、「屠竜」を夜間戦闘機にして、無線、探照灯を活用し、大陸から飛んでくるB-29を今度は散々な目に合わせた。武装もホ207-37㎜、ホ3-20㎜など大口径化した。B-29の襲来時刻は大陸から対空監視で来る情報、そして済州島の電探で正確につかんでいた。なお、阿部息子(阿部定と呼ばれていた)は私が航空機好きと言うことでいろいろ話をしてくれたが、本人はほとんど小月のことは記憶になかった。樫出 勇大尉と言う人が27機を撃墜し、戦後は新潟の田舎から出て来ないことは話していた。
全長11m、全幅15m、重量4t、どうどうたるもので、横の海軍の「月光」は復元されているのに、「屠竜」は胴体だけが転がっている。スポンサーを探しているのだ。
翼、後部胴体、発動機、プロペラ、車輪、すべてある。分解して保管してあったのだ。
これを復元するには恐らく数千万円はかかろう。塗装も良くしたい。誰か日本人がお金を出してくれるのを待っている。何と言ってもB-29は1機で小学校が300校出来るほど費用が掛り11名の乗員を必要とした。それが一人の操縦士だけで27機も落とされては面目がたたない。それで、この前胴体だけ、転がしてあると感じた。
スミソニアン・ナショナル空港別館の「屠竜」、程度は良い。後ろはアメリカ本土を空襲した「晴嵐」。