火縄銃



  9 、第14回前装銃環太平洋大会2011年

会場

会場

カナダ選手団

カナダ選手団

 

9月1-2日と2日間の競技が、アメリカ・バージニア州・ウィンチェスターという町で行われた。8月29日から練習と銃器検査が、31日夕方開会式が行われた。

競技にはアメリカ55名、カナダ15名、日本3名が参加。なお通信競技でオーストラリア、

ニュージィランドが、もう1カ国の南アは欠席であった。通信競技は事前に同じ条件で競技を行いその成績をあらかじめ送っておくものであった。

アメリカ選手団の一部

アメリカ選手団の一部

9月3日(土)の夕方から町のレストランで表彰・閉会式が行われた。

ウィンチェスターはワシントンDCから車で2時間。シェナンドーバレー、アメリカ南北戦争の古戦場にある町で、町は6度、南部(コンフィダレート)と北部(ユニオン)と占領が替った。付近で77回の大きな戦闘が行われたそうだ。そういう由来で前装銃射撃には

理解があり「ラウスパタキンレンジ」射場は一時に800人の射手が射撃できる広大な谷間にあった。

私以外の日本の2選手は、火縄銃、火縄短筒、管打ち短筒を持参し、タネガシマ、ヒザダイ、タンヅツ、クーチェンルーターの4種目に参加して計3個のメダルと獲得した。

私は銃を持参しなかった。事前にアメリカの連盟にお願いして、ミニエ、コルト、マリエッティ、コミナッツオの競技に参加したからだ。借用したのは、軍用火打式銃、レミントンレボルバー、レミントン・58口径銃以上はオリジナルとレミントンレボルバーのレプリカであった。

レミントン拳銃でコルト競技25mに参加した

レミントン拳銃でコルト競技25mに参加した

大切な自分も競技に使うオリジナル銃を使わせて呉れるそれだけでも有り難いのにいろいろ装填方法、射撃を教えてくれる、火薬、弾を準備してくれる。これはなかなかできないことだ。私が銃を持参しなかったのには様々な理由がある。まずはこの機会に研究しているアメリカ南北戦争と戊辰戦争の武器兵器のこと、「9・11」にニューヨークに行く用事があり、銃保持はどんなものでもまずいと言うことからだった。(大会の前後にアメリカ南北戦争の史跡、武器兵器の博物館を訪れたことは別の項に書いた)

銃器審査はかなり厳重だった

銃器審査はかなり厳重だった

武器兵器は身を持って体験しなければ理解の及ばぬ文明なりと。

 

軍用火打ち式歩兵銃 口径18mm、3バンド

輪胴式前装パーカション拳銃

レミントンオリジナル

レミントンオリジナル

ミニエ式小銃 口径14mm、レミントン製、 エンフィールド、スプリングフィールドななど14.66mm小銃と同種の小銃、2バンド

大会事務局長フランク・ケッパー氏とミニエ競技のレミントン銃・577

大会事務局長フランク・ケッパー氏とミニエ競技のレミントン銃・577

これら3種の銃はアメリカ南北戦争で使用されたものであり、また日本の幕末、戊辰戦争でも使用された銃であった。これらを自分で発射することにより、当時の武器兵器の優劣の差、そして戦闘の実態を知りたかったのだ。

上記の武器兵器に比較すれば日本の火縄銃は戦闘が目的で存在したものではなく、純然たるスポーツ銃であったというのが結論の一つである。

 

例えば、18世紀末から19世紀に掛けて使われた軍用火打ち式小銃、銃床の厚さ、着剣装置

など、日本の火縄銃と比較すると、1発撃ってそれから、突く、殴るなどの戦闘行動が継続できる、と言うのが強みだ。日本の火縄銃は白兵行動をとるわけにはいかない。殴れば折れてしまうのがおちだ。フリントは絶えず、先端が尖ってなければならない。

軍用火打ち式歩兵銃50m競技

軍用火打ち式歩兵銃50m競技

競技では13発もたせて撃つが、実際は10発くらい撃つと先端が割れたりする。その時は

フリントを交換する必要がある。これは拳銃も同じだ。またフリントを止めるネジを絶えず点検して、フリントが固く挟まっていることを確認する必要がある。

コルト型輪胴拳銃は装填が難しい。前装の輪胴に一発一発装填していく。そして後ろの管にパーカッションを装着する。小さなものだから、装着し難い。輪胴に火薬、詰め物、弾を入れ、銃身の下の柄を梃子の原理で押しこめる。そのあと、隣の筒に火が移らないように上にワックスを注入し固める。命中率は良い。装填して戦闘で撃ち終われば戦闘中に再装填するのは多分不可能だ。他の兵器を使用して戦うことになろう。

 

もうひとつの比較はミニエ式・58の小銃、エンフィールド・58、スプリングフィールド・577などの効率と威力だ。これらの小銃が戊辰戦争でどのような働きをしたかは、その性能を知れば自ら理解できる。更にこれらの規格の統一された小銃を後送式、スナイドル銃(アメリカではトラップ式と言う)に統一、最終的には金属薬莢を使用して明治の統一小銃の第一歩にした時点で、日本は西欧にそう遅れた状況ではなかったと推察できる。

ミニエ競技100m

ミニエ競技100m

 

アメリカ連盟クロフォード夫妻

アメリカ連盟クロフォード夫妻