3、陸上自衛隊の各種戦闘車両

戦前、日本はモータリゼーションが遅れ、開戦前、自動車生産量は米国の数十分の1と言われていた。兵站にトラックが使われることは少なく、馬載、馬車が一般的であった。日本のモータリゼーションは1960年代になり発展し、道路インフラも整備された。現在は日本の自動車産業は開発、生産ともに世界有数の規模をもち各国で多種の日本車が生産されている。この背景には戦前・中に発展した航空機産業からの転業があったのではないか。陸上自衛隊では多種の戦闘車両を使用しており、その中には武器輸出にからみ各国からの問い合わせの多いものがある。
また皮肉なことに輸出された日本の4輪駆動トラック類は、中東やアフリカで武装集団の移動、戦闘にそのまま使用されている。

 

3-①92式地雷原処理車

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宇都宮駐屯地にて

大変興味深い機能をもった大型車両で、何回かあちこちで目にしたが、その活用法は富士総火演で実際の発射を見なければ理解出来ない。

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地雷原に正対して位置し、ランチャーの角度を付ける。ロケットを発射する。
ロケットはかなりの高度まで上がる。

目的は日本での戦闘を意識したと言うより、国際貢献活動だ。戦車の補助兵器で、「マイン・スィーパー」とも呼ばれている。乗員は2名だが全部のドアを開け、乗車する。車体の前部には大きなブルドーザーの刃が付いている。

全長 全幅 全高 重量 乗員
7.6m 3m 2.8 m 20t 2名

ロケット弾は

全長 外径 重量 ロケットモーター
7m 40cm 1t 4基

 

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上は飛翔するロケット、下ロケットから出てきたワイヤーと
後部はパラシュート

仕組みは2連装のロケットランチャー(箱型)からロケットを地雷原に向けて発射する。ロケットは後部にパラシュートが付いたワイヤーを曳く。このワイヤーには26個の爆薬が繋がっている。空中で後部のパラシュートが開き、本体からワイヤーが伸び、地上に一列になり落下、爆薬が破裂、地雷原の地雷を次々と誘爆させ、地雷原に戦車が通れる道を開ける。と言うものだ。
富士総合火器演習にて。この時、爆薬は半分の数しか付けてなかった。

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ロケットの発射は大砲と異なり、ヒューと言う金属音が大きい。
数百mは飛翔してうまく機能した。現在の装備数は不明だが、推定するに200両くらいか。海外からの引きあいの多い、日本の戦闘車両のひとつである。製造はIHI。
(この項以上)