1-2、九二式野戦電話機その2と交換機

○野戦交換機

上面

珍しいものだ。箱状で蓋はベークライト、外線用4局、交換機側4局と16通りの接続ができるものだ。小型で、横幅21x奥行き10.5x厚さ4㎝で、奥行きは電話機と同じだ。交換手兵用は受話のみで、前線の電話機から、後方の司令部などに繋いだと推定される。箱は木製で開けると赤い避雷管が各線に各々付いている。有線の場合、どこかに落雷して全部の電話機に影響が及ぶことを恐れた。

白い4本の管は何の機能なのかは知らない。(箱を開けた状態)

この交換機はレイテ島で誰それが手に入れたと書いた英文の紙が入っていたが、
綿などを入れ大切に扱われていた。
従って現在3台の九二式野戦電話機があるので、電池と電話線を用意すればこれらがどのように機能するかを試すことができるのだが。

○配線
野戦電話機の電線は柱を立てて上に配線した。柱は700mおきに立て、リールに巻いた線を延ばして行った。従って絶えず警戒と補修が必要で、兵に簡単な工具を持たせ巡回させたようだ。

 

 有線補修兵と工具収容嚢

○九二式野戦電話機の構造図
電池は電鍵と電話と兼用になっていた。柄、ハンドルは一種の発電器でこれを廻すことで、電流が相手の鈴を鳴らす。そして会話を始める。

配線図

送受話器の仕組みはこの縦横の図にみられる。

 

受話器

電鍵の仕組み

以上の情報は以下の資料から参照した。
歩兵通信機材(有線)取扱上ノ参考 陸軍歩兵学校 昭和十三年
通信教範第三部下巻 教育総監部 昭和十八年

以上