1-3、帝国海軍携帯用電話機二型

木製の小型箱であり、合理的な設計だ。小型にしただけでなく使い易い。片横に釦が見える。これは引くとハンドルが出てくる。回すと相手のベルが鳴る。この下に電池を入れるところがある。バネで止まっている板の上の釦を押すと側板が開く。

 

 

送受話器も小型で良い。

電鍵はない。せっかく、予科練の訓練写真を見ていてもモールスの訓練はしっかりやっていたのに。海軍では多くの兵が電鍵を使えたが。戦場の緊急性が電鍵通信の余裕をなくしてあのではないか。反対側には説明書(金属)が張りつけてある。
箱は横幅22x奥行き10x高さ19cm
電線の接続部も大きく道具は要らず使い易い。
重量は512gと記してある。このままでは持ち歩き出来ないから、何か収容嚢があったのであろう。

左下に「錨」の刻印がみえる。

「沖電気株式会社 昭和19年4月 製造番号29855」とある。この時期これだけ製造していたならば、敗戦まであと1万台、沖電気だけで4万台製造していたと推定されよう。

取り扱い説明

木箱の組み方を見ても丁寧な造りである。
戦争も行き詰っていた生産力も限界にあった。贅沢なものではないが実用的な電話機だ。
以上