3-1、空技廠5倍双眼鏡
珍しいものだ。程度も良い。それでもケチをつける。空技廠は帝国海軍の技術開発組織で昭和7年に創立され、革新的な日本帝国海軍のさまざまな技術の開発にたずさわった。しかし組織の性格上、技術の革新性を重んじて、生産効率は二の次であった。
米国で観た海軍空挺部隊落下傘のハーネス金具がクロームメッキしてあったのも、海軍と言う特殊な立場を考えると理解はできるが使い捨ての思想のない、大名兵器であった。
この空技廠の双眼鏡は開発し試験飛行をする航空機を観察するためのものだろう。
製造番号からも1000個も作ってなかっただろう。そんなことで空技廠は知る人ぞ知る組織で、ここから戦後様々な技術が民間に出た。新幹線もそのひとつと言われている。
この双眼鏡はそういう背景を知り過ぎているドイツ人とマニオンではりあった。
とにかく外装の程度は申し分ない。レンズの数字は手書きだ。収容嚢も、フィルターも
完璧。
空工廠の独特の刻印、5倍x10度の数字と製造番号。金をかけて製造したから何十年ももっている。レンズの多少のカビはしょうがないが、今の日本このことを知っていた
若者がいただけでも幸いだった。
大切にしてやってほしい。
(この項以上)