4-2、温度・湿度計

「通風温湿計」は現在も気象観測器具を開発・生産している「大田計器製作所」立川の、
昭和13年(1938)の製造である。大田製作所は昭和6年に金属製温度計を開発した。

軍用もしくは山岳などに持ち込むには頑丈である必要がある。ガラスだけだと破損するおそれが。それでこの木箱、44x12×12㎝と言うバランスのとれた頑丈な箱に収納した。

長いU字型の金属筒の中にガラス棒が入っており、下の円筒に水を入れる。その蒸発で湿度を見る。温度差と湿度を表にして箱の裏蓋に張り付けてある。この器具の使い方はU字型の筒の下に添付の金属棒を装着し、木ネジで何かにとめて、地面より一定の高さに置く。
従って設置には数分も掛らないが湿度をみるためには一定の時間が必要だ。金属部はすべてニッケルメッキだ。

大田計器製作所は大正8年(1919)に創業し、当初は都内にあったが段々西に移動、気象観測計器の製造、販売、修理などを専門にしている会社である。現在はほとんどがデジタル商品だろうが。

 

 

この器具を軍用に?少し贅沢過ぎないか。しかし気象観測をはじめ通信、医療、兵站に進んだ考え方をもっていないと強い軍隊ではなかっただろう。以上