2-1、円匙(えんび)
「中国戦線の日本兵」より
① 小円匙 帝国日本軍ではスコップのことを円匙(本来の発音は「えんし」だが「えんび」と呼んでいた)は、大きさにより何種類かあったが、一番小さい、携帯用の小円匙は個人装具であった。皿と柄の部分が外すことができ、ロープで繋がれていた。帆布製の被いがあり、皿に被せた。小円匙は兵の背嚢に括られ運搬された。
主に個人で入るタコつぼと呼ばれた塹壕掘りや共同で陣地作り、迫撃砲、擲弾筒、機関銃の設置の工事に使用された。自分の排泄物の処理にも使用した。歩兵には必要不可欠な道具であった。被いは複製品
また刃が鋭く、鋼で作られていたので、白兵戦闘にも使用したと言う。米軍のスコップは折りたたみ式で、90度の角度で留めることも出来たが壊れやすく、この簡単な構造ながら丈夫な日本軍小円匙は人気があり、多くが米国に持ち帰られたが
実際に車などに載せて置き、使い捨てられ残ってない。鉄板の厚さは2㎜あり、いた穴はロープを通したがまた顔を隠して敵弾を避けながら状況観察が可能だった。全長74cm、鉄部長35㎝、皿部22x18㎝、重量1.2kg
② 中円匙 一回り大きく、まん中に小穴が目の幅で2個開いており、顔を当て防御することができた。柄と皿の部分を小円匙と同じくロープで結んであるのは、離れことを防ぐと運搬のためまた使用の際に手が滑らぬようにするためだ。
全長970㎝、厚さ3㎜の鋼板、板部長40㎝、皿部25x20㎝、重量1.6㎏
重機関銃の装備品、車載用などに使われていた。
特徴的なのは小円匙に比較すると先が尖っていることだ。
刃先の比較(上が小円匙)
中円匙は再塗装
以上