1 、帝国日本軍の「箱」類
兵器、弾薬、装具、通信機その他重要なものを収納する箱。戦場では当然、どの箱一つを欠いても戦闘に支障があったに違いない。また帝国日本軍は一部を除き、相当な部分の輸送を馬載、馬曳き荷車、人力に頼ったので、兵站の思想としては弾薬などを収納する箱類には車両を使わない設計を重んじていた。また収容物が爆発物、精密機械など多種にわたるが頑丈であると言うことも大きな要素だった。多くの箱は上質な杉板に鉄枠をはめて、上部には帆布の被いを掛けるのが基本的な設計で、恐らく大正時代、1920年頃に確立された方式ではないか。板の厚さは12-14㎜くらいで、カーキから後期にはやや緑かかった塗料で塗装されている。特徴的なのは錠前であり、外部式で、鉄舌板の隙間に、立てた環が入りその穴に簡単な鍵を掛けた。どの鍵でも開いたと言われているが、確認してない。蝶番は長く上部なものだ。特に驚かされるのは砲弾を収納した箱だ。立派なもので、開けると今でもほのかに杉の香りがする。