8- 1、腕時計 陸軍、海軍
作戦を遂行するには「決められた時間を守る」は必要条件であった。日本では1930年代腕時計はまだ社会では一般的なものでなく一部の上流社会のものが使っていただけで、国産品の生産量も少なかった。日中戦争が始まり大動員が行われると、セイコー、シチズンなどの会社の生産は飛躍的に生産量を伸ばした。この2種の時計はセイコー製である。
直径25㎜ほどでビューズが大きく、防水ではない。今の腕時計に比較すると
粗末な製品である。6石くらい。
陸軍のもの(左)はダイヤルに星が入り、下に[seiko]とある。下は革帯に装着した陸軍型。
海軍もものは裏に「stainless steel back」碇の刻印、[seiko] 246675のシリアルナンバーがある。
海軍型の裏、ステンレスだ。
シリアルナンバーから推定するに厖大な数量が生産された。
○陸軍☆時計(セイコー)の精度と稼働時間
機会があってこの時計の精度とどのくらいの時間稼働するものかを試してみた。現在、自分が使用しているロレックスと対比した。ロレックス自体も自動巻きでクオーツのような正確な時計ではない。
朝の9時半ごろに巻いた。
6時間後に比べてみた、ほとんど同じ時間を示していた。
ロレックスは自分の腕につけて体と一緒に動かしていないと10時間くらいで停止する。
陸軍☆時計は相当使いこまれたものだが、戦闘には使われた様子はない。内部も原型を留めていた。大体「36」時間稼働した。ロレックスは突然に止まるが、陸軍☆は稼働30時間くらいから徐々に遅れがでてきた。
○海軍⚓(セイコー)の精度と稼働時間
陸軍☆と同様の方法、現在使っているロレックスと比較してみた。
午前中に巻いた、夜に見たらほぼ同じ時間を示していたので精度はロレックスと同じくらいであった。翌日、午後4時に遅れることなく停止した。
従って稼働時間は36時間くらいであった。
この時計裏側はステンレスだが、表は鉄なので、錆が出ている。
(ロレックスの日付は半日づれていた)
(この項以上)