8- 4、防塵眼鏡

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皮革製のケースに収めれら革帯に装着されていた。ほとんど砂漠に近い中国戦線においては、各々の歩兵に必要な用具であり、これを装着したまま、兵器を
操作できなければならなかった。皮革収容嚢は10Ⅹ10㎝であり、眼鏡は金属枠に二つ折りのガラスである。一枚が50㎜x40㎜で前と横が見える。

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開いた状態

布ゴム製の地にゴムの帯。材料の状態は70年以上を経過しているが良い。
皮革に印があるので、私物ではなさそうだ。

将校用防塵眼鏡

他にも5種類の将校用防塵眼鏡を見た。
日本の防塵眼鏡の特徴は左右各々のレンズ(ガラス)真ん中で折れる仕組みであることだ。正面と左右の視界を見ることが可能で例えばドイツ軍の車両用ゴーグルは左右、丸いものだ。
顔面と眼鏡を支えも異なる。日本のものはクッションを使わず、直接皮革か布の支え被いが皮膚に密着する方式だ。布か皮革の支え被いには曇り止めの穴が開けてある。
日本人の顔面骨格に合わせたものと思われる。

(眼鏡の枠はニッケルメッキ、収容嚢に負い皮通はなく、蓋は釦止め)

(眼鏡の枠はやや丸みを帯びたおり、収容嚢の蓋は釦止め)

(眼鏡の枠はバンドの金具はアルミ製、収容嚢は豚牛皮)

(眼鏡の枠は緑色で収容嚢は豚牛皮の組み合わせ)

(眼鏡のフレームはカーキ色 ⑥の文字が収容嚢に刻印されている)

以上のように6個の日本軍防塵眼鏡は全てが異なる。


1、中には官給品があったかもしれないが、眼鏡や収容嚢が異なるのは将校用であった証左だ。
また様々なサイズがあったのかも知れないが、どの眼鏡も収容嚢の大きさがほぼ同じで眼鏡も同じなのだ。


2、レンズのガラスはどういう材質か?
大切な目に近い部分であるから強化ガラスであった可能性もある。
傷がついているのは観ていない。
しかしこの防塵眼鏡を掛けたまま小銃を射撃するには反動が来ないことを絶えず意識しなければならない。


3、折り曲げ式防塵眼鏡は日本のものしか見てないが他国にも同じようなものがあったかもしれない。。
狩猟などに行き、頭を動かさず側面を見る、ことは大切だ。
戦闘においては言うまでもない。丸形レンズでは、水泳用のゴーグルのように90度ほどの視界しかない。

4、日本国内では砂塵が舞い目を傷める地勢、気候は少ないが主なる使用地域は中国大陸であっただろう。オープンな車両運転者には特に必要不可欠な装具であっただろう。

5、収容嚢の皮革ケースもひとつひとつが異なり、手製の丁寧な造りだ。大体が10x7cm内外で負い皮か帯皮に通し携帯するような仕組みだが、何もついてなくポケットか何か他の収容嚢に入れたと考えられるものもある。

以上、日本の防塵眼鏡には幾つかの特徴があり、珍しい装具である。