8- 7、水筒(すいとう)

image001

日本国内においては各所に清らかな飲み水を産し、戦前、日本の演習地においてはあまり水の苦労は聞いたことはない。しかし一旦海外で出ると、兵士は水に大変苦労した。中国戦線の話を聞いても、撤退する中国兵が井戸に汚物を投げ込み日本兵が使えなくし、南方では煮沸しなければ飲めない沼や川の水、さらに薬品を使い消毒するが臭みが残り飲めたものではなかったそうだ。水で病気なり死亡した将兵の数はもしかしたら戦闘で亡くなった兵より多いのではないか?と言うほどだった。炊飯にも水は不可欠だった。

image002
(体が当たる方)

日本軍の九十式水筒は、明治時代より使われてきたものより大型になった。
幅14㎝x高さ20㎝x厚さ6㎝で、裏(体に当たる部分は平で)、表は曲面である。特徴は厚い帆布帯、幅2㎝を籠のようにして内部にいれ、紐で固定、蓋は簡単な押しみ型で、その素材は木、ゴム、コルクなどで、これは布帯に紐で繋がっている。
従って中身だけを出して、そのまま火にかけることが出来た。容量は500㎜リッターのペットボトルが2本弱入る。従って1リッター弱、とても一日はもたない。普通の水は煮沸すれば大体飲んでも大丈夫だが、それだけの時間、燃料が無かったのだろう。また兵士に対する衛生教育も十分でなかったのではないか?日本の前線には砂漠は少なかったが、現在、米軍は砂漠の戦場では一人一日4リッターを標準にして、ペットボトルで支給しており、もう水筒は使ってない。
この項以上