8- 8- 2、 射撃された鉄帽

前項で日本の九十式鉄帽の材料はモリブデン鋼で、撃たれると弾丸は抜けると言うより壊れるような形になると書いた。鉄帽は弾丸が有効射程距離から命中したら、防ぐことはできない。どんなものでも貫通する。
しかし鉄帽の役目は、白兵戦におけるブレードウエポン、手榴弾や迫撃砲の
破片、さまざまなものに対抗して設計して造られているからだ。

米国にいた頃、今考えれば、実験を協力してくれた友人たちが「もったいない
やめろ」と言った意味も分かる。日本の鉄帽は高価なのだ。
実験は私設射撃場で100m弱のところの丸太に堅く保持し、☆の下に白い紙をはり、それを狙い、三八式歩兵銃6.5㎜で3発射撃した。
2発が命中し、そのうち1発が貫通した。もう1発は鉄帽が最初の命中でやや下を向いたので、下に抜けただろう。
果たして、弾丸の入り口は丸く抜けたのではない。鉄板の抵抗の跡が見られる。
抜けたあとは、鉄板がはがれるように壊れていた。内装も付けていた。
一枚の革が破けた。(顎紐と☆は実物ではなくレプリカ)

image001命中した前面

image002抜けた後面

image003内部の様子

image004 内部から抜けた穴

これが一番迫力があった。
(この項以上)