新発見2:銃剣差し初期型

「銃剣差し」の研究は比較的良くされており新発見はすでに出てこないように思われる。日本の銃剣は工廠の記録から推定しただけでも三十 年式だけでも840万振、その他を加えると900万振近くあり、これに教練用のものを加えると軽く1000万振以上になり、これら全てに帯に付 ける銃剣差しが存在したであろうから、銃剣差しは1000万個以上はあった。ほとんどが三十年式型でそれだけに種類も多い。革の合わせ 方、縫い方、銃剣止めの帯の形状・長さ、びじょうの寸法・形状などから分類すると数十種はあろう。
今まで、意外に気が付いて無かったのは、皮革製のもので、リベットを使ってない形式のがあるということである。これは恐らく20個に一つ位 の割合で存在しているが、その差は注目されてなかった。指摘すると「あっそうか」というような軽い感じの点であった。しかし私はこのリベット を使用してない実物は、実はある時期以前の古い形ではないかと思う。形状はリベットを使用したものともまったく同じである。リベットはベー スになる部分と型押しした表面を合わせて、糸縫いし、さらにこれらを補強したものである。リベットの無いものは銃剣を止める帯が幅広で、長 いという傾向はある。 これらがなぜ古いかの理由は後弾入の革帯通しにリベットを使用してないものと、使用してあるものが存在し、これも明らかにリベットは新しい ものであるからだ。
皮革製品へのリベット使用は昭和13年(1938)頃、日本の軍備が急速に拡大した頃からのものと推定する。この昭和13年は6・5ミリ実包 なども改良され、先に紹介したように前盒にも前面が合わせのものが出現した。リベットは戦場での実態に合わせ、革の合わせが離れないよ うに強化した設計・加工であろう。
また被服の剣止めが掛かるように上が二股になっているものが全体の80%はあろうが、別に上が一体型のものが存在し、これら全てはリベ ットが使われている。上が一体型のものにも2種類あり、上が大きくて真ん中が空いているのと、上が小さく空いていないものがある。これら一 体型は革帯の中で前後に自由に動かすことが出来るので、車両の中で便利で、車両の操縦者・添乗者用と言われている。ゴム引きキャンバ スの素材のものでは逆に上が一体型の方が多く存在するのは、時代と関係があり、ゴム引きキャンバスの出現と車両の普及の時期的相関 があろう。これらにもすべてリベットが使われており、リベットがある時からのものであることを証明している。
リベットの素材は真鍮・鉄などである。こちらの銃剣研究家の中川和人氏は剣止めの帯のびじょう(バックル)の素材でアルミ製で形が正方形 に近いものが、その中でも一番古いものではないかとしている。びじょうの素材は鉄・真鍮などが一般的でその形状も正方形に近いものから 縦長のものまで寸法も多種ある。

もしリベットを使用してない糸縫いのみの銃剣差しを見たら、それらは推定昭和13年以前の旧型である可能性がある、というのが今回のレポ ートの要旨である。