火縄銃



24、レプリカ火縄銃と贋作火縄銃

概況:MLAIC(国際前装銃連盟)では現在、日本の短筒レプリカに関しての議論が行われている。私たちが2010年ポルトガル大会に行った時、すでに日本の火縄銃は二つのカテゴリー、「オリジナル」と「レプリカ」に分かれていた。
日本人がパリの大会でレプリカ銃を使いオリジナル優勝した事実は隠されたままだった。
銃器委員としてM氏とT夫人の協力を得て、各々数十挺の銃の検査をし、シールを貼った。それ以後3年間はこのシールに従い、現地の検査員が検査をしたそうだ。
レプリカ銃に関しては大体3種類あった。①スペイン2社製作のもの、②イタリア1社の製作のモノ、③個人製のもの。
① と②に関しては大会合間に社の担当者に会い、直接細かい指導をした。
後にメールを貰い細かいところを聞いて来た会社もあった。

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その結果がここに出てくるスペイン製のものだ。良く出来ている。

② はクロアチア、スロベニア、チェコなど東欧の各国、個人が製作したもので、
これは形状、安全性、その他様々な問題を含んでいたので、個々に紙に具体的に書いてわたした。言葉が通じない人は英語で通訳をする各国役員が立ち会った。大体が写真だけで製作したので、火皿の奥行きが間違っていた。その努力には頭が下がったが。
総勢100人以上の競技者が日本の火縄銃、短筒競技に参加したことになった。

1、 今回MLAICにおいて問題になっている点
① 素材、ステンレススチールは良いか?
② 形状特にサイトの問題
スペイン製レプリカ、イタリアもそうだろう、各段の良い出来になっている。
正確な価格は知らないが、ポルトガルでは大体日本円12-3万だった。
これなら手軽に撃てる。当然、日本チームでは誰も手をださなかった。
(但し他のメンバーなら特に自分が登録員などをしている人間が悪気で購入し登録する恐れは100%ないとは言いきれない>)

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2、 どこがおかしい
私は2点指摘した。①は照準器だ。前目当ての写真ははっきりしているが、これだけでもおかしい。また後目当は明確に見て取れない。

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前目当ては大きく、恐らく重いもので、銃身の安定に役に立つと同時に正確な狙いができるのだろう。大体欧米のレプリカ古式銃の後ろ目当ての筋は太い。
日本でも太く削る射手もいないわけではないが。元は1㎜ⅹ1㎜くらいの極端に細いもので、今では錆落としして2㎜ⅹ2㎜くらいが普通だろう。
孔は何かを詰めてバランスの調整にも使える。

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③ は銃把だ。短筒に火縄の孔が開いているものはみたことがない。少し長い、重い馬上で使うものにはあるが。
材料の問題は他のレプリカにバッキー・マルソンの時代に認めたからステンレススチールでかまわないのではないか。後にオリジナルと間違えられつ心配は少ない。

 

3、 成績
この銃で撃てば成績は良い。ただ、拳銃を撃ち慣れているからだ。日本人では
無理だ。東欧などから参加した選手には明らかに軍人上がりの体格の人が見られた。オリンピック選手などもいたかもしれない。だから成績は良いのだ。

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4、 今後の課題
欧米では数は限られているが世界で「火縄式ピストル」は日本にしかない。この競技に興味をもち、参加したい射手は多い。従ってできるだけ多くの情報を集めて正確な返事をしてやるつもりだ。本来は日本前装銃射撃連盟かライフル射撃協会がおこなうべき課題だが、いそがしくてそれだけの余裕がないのだろう。
私もOBとしてまた銃砲史学会会員、MLAIC火縄銃銃器委員としての責務だろう。

5、 レプリカと贋作は異なる
レプリカは上記のように競技として成立しており、検査を受ける。
贋作は日本国内の問題であり数え切れないほどある。例えば平和島骨董市を
廻ると10挺近い売りモノを観る。私の感じだが、偏見なく、半分は贋作だ。
しかし登録証はしっかりしている。大体、西の県の審査が多い。
経過として二つが考えられる。
① 何かを見本を元に贋作を造る。短筒、太い筒に多い。
② 登録証の付いたガラクタを元に新しい贋作を造る。射撃用には最適だ。
現在の機械技術、工作者の技を考えれば昔、発達した道具もない職人が製造したもの以上が出来る・・・これは間違いである。
観る人が見れば、一目にしてその違いを見分ける。職人の技が見えないのだ。

先日、登録審査に行った。私の用事は登録証誤記の修正だったが、観察していたら、贋作を持ってきた若者がいた。(多分アルバイトだろう)
登録審査員は銃砲史学会の仲間だったが、直ぐに見破り登録証を発行せず、実物はたち合いの警察官に没収された。

性質の悪いのは②だ。どうしてこういうことをするのかその背景がわからない。
費用も掛る、手間も掛る。誰かに指摘される恐れもある。実際に指摘すると異常に侮辱されたと怒ってくるのがその主観的証拠になろう。
(以上)