火縄銃



2 、特徴と機構

火縄銃各部の名称

日本の火縄銃は黒色火薬、鉛丸弾丸を銃口から装填する。(この点は他の前装銃と同じ) しかしその発火に燃えている火縄を使用する。燃えている火縄は火挟みと言う金属製柄の先に装着され、狙いを付け引き金を引くと、バネの力で、火が火皿上の発火薬上に落ち、瞬時にこれを発火させる。この燃焼はやはり瞬時に火皿から銃身後部に開けられた小孔を通し、銃身内部に装填された火薬を発火させその爆発の圧力で弾丸を銃口から発射する仕組みである。銃の発火方式は、火打ち石式(フリント)を使うもの、管打ち式(パーカション)と進化したが日本の銃は火縄式を前記の理由で踏襲していた。なお引き金を引き、発射が瞬時でないと弾丸は狙ったところには行かない。銃がぶれるからだ。よく花火のように火縄が燃え尽きて発火すると誤解している人がいるが、それでは銃器としての体裁をなさない。

カラクリ

いずれも真鍮製がほとんどで一部鉄製のものがある。反発力の弱い、松葉バネ、ゼンマイすなわち巻きバネ(コイルスプリング)を使用する。松葉バネは外に出ており(外カラクリ)、巻きバネは内部に収納されている(内カラクリ)と2種の形式に大別出来る。またその各々は引き金を引き、火挟みが落ちる機構の差により3種に大別でき、主なるカラクリの形状は6種あり、その他珍しいものも含めると10数種が存在する。


①平カラクリ  ②紀州カラクリ  ③調整式カラクリ
④薩摩・米沢系  ⑤一重ゼンマイ  ⑥二重ゼンマイ

照準装置

照星(前目当)、照門(後目当)を使い銃を目標に合わせる。各々が数種類の形状に分類され、その組み合わせでおびただしい種類が存在する。しかしこの形状の銃にはこのようなものという一定の決まりがあったようだ。オリジナルの照準は正確に出来ているが、銃を撃つ人はこれを一番先に改造したがる。国際ルールでは照準装置はわずかに上下左右に動かして狙点を修正することは出来るがその形状を損ねてはいけない、とある。

引き金

引き金を引くとその動きが内部の軸を伝わり、バネを押させている爪を解除し、バネの力で火挟みが落ちると言う機構は共通である。引き金には幾つかの形状が見られその主なものは、水滴型、油滴型、釣り鐘型、柿の種型、すかし型、鈴型、へちま型、鴨のくちはし型、舌型、斧型、指型など多種存在するが地方及び流派によりその形が決まっていたようだ。

用心鉄

引き金の回りにあるガード。標準サイズ(全長130cmくらいのもの)には概して付いているが十匁筒(口径18mmくらい)には付いてないものが多い。多くは後部を銃床木部にはめ込み、前部はカラクリの地板(プレート)を抑えてある横軸で止まっている。

火蓋と雨覆

火蓋は銃身の右横に出ている火皿を被うコの字型の部品で回転し、前に押し出すことが出来る。火皿に口薬(発火薬)を載せた後は閉めておくと、燃えている火縄が火挟みに先に装着されていても安全である。発射の直前に蓋を前方に右手の親指で開ける。 雨覆いは火皿の銃身の間に立っている板で銃身を保護する。溝に楔で止めてあるだけなので欠落し易い。

銃口径と弾丸(玉)の径

日本の火縄銃には様々な口径が存在する。小さいものは直径が4-5mm、大きなものは大砲に近い8-9cmのものまでが存在して、大口径な銃も一人の兵士が抱えて発射した。匁と言う銃口径は銃口の直径でなく、弾丸の重量で表したのは日本の火縄銃の特徴である。これは弾丸の大きさは使用する火薬の量をも意味するので合理的な方法である。