12、ラインメタル旋回機銃の弾薬と装填器

大戦期、帝国陸軍はドイツラインメタルの航空機旋回機銃を採用した。「八九式単身」と「一式2連」だ。両方とも武器学校展示にある。

ラインメタル機銃は単身も2連も馬鞍型弾倉・サドルバックマガジンを採用していたのが特徴的だ。この形式の弾倉は左右両側から弾薬を装填できるので発射速度の高速化に対応する設計だった。

弾倉は重く頑丈だ。使用するバネが強いからだった。発射速度が速く、威力の大きな弾薬と機構が優れていた。

口径はドイツ7.92㎜で日本の7.7㎜弾薬との互換性は無かった。

これらの弾薬は何でどのように弾倉へは装填はどのように行ったのだろう。また弾薬の長さはどうだったのか?知らないことは多い。

 武器学校の一式2連機銃 弾倉

機構的には優れていたのだろう。

九八式単身旋回機銃 弾倉は無いがサドルバック型だ。

一式機銃の弾倉の装填口

ダミーの弾薬がリーダーになっている。

 

葉山さんが最近、弾薬収集の中で気が付いたことを知らせて来た。

「九八式実包」のことだ。九八式実包と書かれた紙箱に5発保弾子に入れたられた弾薬だ。彼は7.7㎜弾と思ったが、計測したら7.92㎜だった。全長は76.2㎜だったと。

これが、ケース縁やネックが日本の7.7㎜九二式弾と異なる形状にみえるが、九八式弾は日本の機械で製造されたのであろう。

ドイツ弾も5発の保弾子を使用していた。

下、ドイツのモーゼル弾、ウィキペデイアより

モーゼル弾と保弾子

(首・ネックと縁・リムは違う形状のようだ)

日本の7.7㎜は八九式で制定されていたが、最初は半起縁で、九二式重機用だった。それを無起縁にしたものが一般的であり、九二式重機(半機縁でも無起縁でも使用できる)、九九式小銃、九九式軽機銃に使用された。

この実包は縁・リムが違う。深いのだ。

恐らくこれらがドイツラインメタル系の弾薬だったのではないか?

長さの問題、日本の7,7㎜は57㎜だが、微妙に異なる。

 

左、九八式、右、日本の九二式7.7mm

(葉山氏写真)

明らかに一番上の九八式の保弾子は形状が異なりおり、モーゼル実包のものだ。

保弾子実包を使い、日本の九六式、九九式軽機弾倉に装填したような「装填器」、ハンドルを人間の手で操作することで、小銃に弾薬を詰めるように弾倉に5発ずつ装填して、保弾子は横か下に排出される方式のものがあったのだろう。

装填器はドイツにもあっただろうから、それを採用したのか、日本独自のものを使ったのかは不明だ。

(この項以上)