壹丸谷 政志著「日本刀の科学」

珍しい形式の日本刀の本である。日本刀の武器としての本質を「衝撃」と言う観点から、何かしらの実験を行い、科学的に写真、図を多く採用し説明してある。

image001

ソフトバンク社の出版でサイエンスアイ新書、価格1000円だが、カラー写真が多く、図、グラフの類は分かりやすい。
著者は鉄鋼の町、室蘭工業大学名誉教授であり、電車の中で目的地までに、日本刀に関する幾つかのヒントが得られる。
例えば、著者は長い刀身のどこで打つのか、バランスを主に研究した。
バランスで言えば、目釘穴は幾つかあるが、刀身を太刀拵えにしたときの目釘穴が最的位置に開けてあるとしている。

image002

刀は拵えにより、打ち刀(刃を上にして差す)、野戦の太刀拵え(刃を下にして
吊る)の二通りの身に付け方があるが。
内容は以下である。簡潔にしてアート的かつ科学的である。

第1章 日本刀
第2章 玉鋼の科学
第3章 作刀伝承技術の科学
第4章 焼き入れの科学
第5章 強靭な日本刀の科学
第6章 日本刀モデルの衝撃応答
第7章 なぜ竹目釘は破損しないのか?
第8章 日本刀の物打ちとはどこか?

最近、若い人の日本刀ブームがあり、常識的な入門編、科学的な知識を求められていると聞いている。地域、作、姿など鑑定に進む前に知っておいて良い内容で分かりやすいと感じた。(以上)