保谷徹教授の幕末研究の2冊
東京大学史料編纂室教授保谷徹氏は最近、2巻の幕末軍事史本を刊行した。
適当にビジュアルな説明も、具体的な数字も挿入されている。かつ、185-60年代の日本と列強、米、英、仏、蘭などとのシビアな交渉、具体的事件を「軍事革命」としてとらえ、総合的な日本の軍事力の背景、その装備の努力、そして明治維新への道を分かり易く説明した名著と評価したい。
保谷徹著『戊辰戦争』戦争の日本史18
吉川弘文館2007年B5版303ページ
プロローグ 戊辰戦争をどうとらえるか
I 開戦前夜の情勢
II 鳥羽・伏見戦争
III 東征と関東の争乱
IV 東北・越後戦争
V 函館戦争
エピローグ 戊辰戦争のもたらしたもの
保谷徹著『幕末日本と対外戦争の危機』
吉川弘文館2010年B5版232ページ
外圧の構造
攘夷主義と対外戦争の危機
イギリスの対日戦争準備
下関戦争とその舞台裏
の構成である。下田で津波のため沈船したロシア艦の砲が全て日本側に使用されていたり、砲は外国製を利用してのではないかと感じた。
慶応義塾大学外交史池井潔名誉教授も、日本には武士階級と言う厳然たる軍事力の基盤があり、国内戦争を最小化したことが明治維新に繋がったとしている。
以上。