戦争データ照会の難しさ
最近まで日本の多くの書籍や研究は正確なデータを欠落していた。例えば、戦国期は言うまでもなく、戦闘における兵員や装備の数量は幕末、戊辰戦争あたりから記されるようになり、日清、日露の戦争で国家的な統計が正式に残されるようになった。しかし第二次世界大戦の敗戦の際、書類焼却が組織的になされ、系統的な数字が失われた記録が多い。そのなかで、防衛図書館などに残されて資料、米国公文書館から返却された資料に基づいて数字をまとめた1巻があり、例えばこのなかに帝国陸海軍の主要航空機のデータ、製造数などがある。実に役にたった資料である。
桑田 悦・前原 透共編著「日本の戦争」図解とデータ 1894-1945
原書房 A4版1982年 67の図表と22ページのデータ類
各戦闘毎に折りたたまれた「作戦経過要図」が引き出せるようになっており、そこには地図と戦闘の経過が、その裏は必要データが記載されている。最後のページは厚生省援護局集計の「大東亜戦争における陸海軍別「地域別兵員及び死没者概要数」の表である。
1945年8月15日を過ぎてから死亡した人員が18万人に達しているということはいささかショッキングな数字であり、中国で5万人、シベリアで6万人と言うのが突出しいる。