戦前の兵器学バイブル「兵器考」4巻
海軍造兵中将、工学博士である有坂 鉊蔵著「兵器考」は古代編から4巻になる箱入り布張表紙、雄山閣発行、当時の豪華本で、小銃が10円で製造されていた昭和11年(1931年)4巻で計12円だった。有坂博士と日本の小銃の父、有坂成章中将がどういう関係かは知らないが、有坂と言う家は岩国藩(長州)の砲術家だった。
全巻揃っているが今回は「砲熕(ほうこう)篇」一般部と「砲熕篇」海軍砲熕・小銃の2冊を紹介しよう。時代が国粋的になってはいたが有坂博士は実に多くの海外資料を参照していた。また日本の近代兵器は海外の兵器を比較したその発達や開発を客観的に述べており、日本兵器の大きな優位性を認めていたわけではない公平な研究家であった。また極めて科学的・学術的であった。
本は海外の写真と画が多く、ビジュアルな説明を駆使していた。
しかし、文字が現代漢字と異なり難しものもある。「砲熕」は大砲のことである。
有坂鉊蔵著「兵器考」砲熕篇一般部
雄山閣昭和11年 B5版298ページ
内容は序説、第一章 西洋砲熕沿革
第二章 東洋砲熕沿革
第三章 日本砲熕沿革
第四章 後装砲
第五章 近世砲熕用材料
中世の砲の変遷
第六章 装箍(こうこう)砲 箍(たが)と言う字
第七章 砲の種類
第八章 弾丸
第九章 火薬・爆薬・加工品
有坂鉊蔵著「兵器考」海軍砲熕・小銃
内容は序説、第一章 海軍砲熕の発達
第二章 日本海軍砲熕沿革
第三章 装甲板
第四章 西洋小銃
第五章 拳銃
第六章 日本及東洋小銃