江戸の技術史(特に銃砲史)
奥村正二著「火縄銃から黒船まで」江戸時代技術史1970年は新書版ではあるが、時代と具体的な技術、内面的な思考、その中に自己の文化の形成において積極的であった、江戸期それらの反面性を詳しく、要領よく捉えている書籍だ。幕末には高島秋帆、江川坦庵、この二人が背景は対象的ではあるが、日本の武器兵器と、戦術近代化に貢献があった。江戸の技術史は完全に西欧に遅れていたわけではない。この点がとても日本史上重要なポイントで、その蓄積がなければ幕末、維新にまた明治維新後の軍事の近代化は遂行されなかったと言って良い。
江川(左)と高島(右)
徳丸原調練の意義を板橋区立資料館小西館長は「ネットワーク」と捉えていた。高島は長崎で西洋流として西欧の砲術、武器兵器を個人として輸入その仕組みを解明、それを流派として江川、下曽根など幕臣、その他100人以上に伝授した。
奥村正二著「火縄銃から黒船まで」江戸時代技術史
岩波新書1970年新書版 203ページ
内容は、I江戸時代を見る眼、II火縄銃、大筒、焔硝、III御朱印船・千石船・黒船、IV金銀銅の鉱山、V歯車とからくり
榴弾への道のり、「榴弾」を近代兵器の象徴としている。
砲を鉄砲の延長に考えていた日本では砲弾は着地しても破裂しないものだったからだ。艦艇も砲とは切っても切れない関係のあるもののひとつだ。
有馬 成甫著「高 島 秋 帆」日本歴史学会編集
吉川弘文館 昭和33年 新書版 221ページ
有馬先生は本のはしがきで「高島秋帆の生涯と業績については、未だよく知られていない。」としていたが、映画にもドラマにもならない地味な存在であったかもしれないが、幕末日本における功績ははかりしれない。「武芸」を「軍事」
に変えたからだ。本は1、幕末の時勢、2、修養時代 3、高島流砲術、4、徳丸原演練 5、長崎事件 6、嘉永上書と晩年 の内容である。