「火縄銃・大筒・騎馬・鉄甲船の威力」
―時代を変えた新語句必勝の兵器と戦術、戦国最強の兵器図鑑―
鹿児島の歴史作家桐野作人著、新人物往来社刊、2010・6 A5判、パートカラー255ページ ムック本的構成
題名と内容が一致してないのだ。著者は4つのキーワード、「火」「馬」「船」「水」の戦国期における戦略、戦闘、兵站の発達にもっていきたかったのであろう。しかし、これは良い構想だが、武器・兵器と戦略・戦闘・兵站の因果関係やさらに社会制度や、文禄慶長の役への発展が弱い。
特に戦国期の水軍発達に関しては詳しく、面白い。しかしその武装、なぜ朝鮮で敗退したか、などの背景が弱い。また鉄砲自体に関心のない方であろう。鉄砲の具体性、威力、「定義」などがないから、どんな新兵器であったか、せっかくの内容にもかかわらずこの点の迫力がない。ばらばらと入っている。 大砲に関しては過大評価であると思う。地勢学的にみて戦国期の日本では大砲は水軍以外通常兵器であったとは言い難い。それで幕末苦労したわけだ。
高名な「芝辻砲」も。例えば、表紙のフランキは実用的なる兵器であったのだろうか。「炮」と「砲」の文字の使い分けは?編集者の仕事が大きかった著作ではないか?と感じた。
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