「戊辰戦争」戦争の日本史18
保谷徹著
吉川弘文館 2007年
B5判ハードカバー303頁
著者は東京大学資科編纂室教授であられ、日本軍事史の権威で特に幕末の諸外国と日本に関しての著作が多い。戊辰戦争とは何であったのか、幕府と西南雄藩、東北諸藩、函館戦争までの記録を数字的に多く把握して述べている。
図、地図、画、写真を多く使い具体的である。例えば、幕府と諸藩が極めて短い期間に輸入した兵器各種の数量や価格、そのような数字も多く表になっている。欧米はすでに国際法、並びに国家間の取り決めやルールに従い、日本に様々な要求を出してきており、日本が国家としての意識に目覚めつつも、対等に交渉するには、まずは新しい制度、国家としての存在を認めさせねばならない。
そのために大規模な内乱にせずにいかに明治維新にもっていくか、幕府が行った近代化遺産を無駄にしないか。非常に困難な時期であった1866-68年の間。また、この全国にまたがった戦闘には、近代的な軍費、清算、兵站、移動の考え方が重要であったと指摘している。