「幕末日本と対外戦争の危機」下関戦争の舞台裏
保谷徹著、吉川弘文館刊、B5版、1,700円 2010年2月
また幕末ものか、と言われるが幕末は江戸期のつけ、特に武器兵器に関しての日本の矛盾が一気に噴き出た極めて短い期間だった。また日本自体が国際的にその歴史上最大の危機を迎え、西欧列強に対面し、国家分裂の存亡の恐れもあった。刀槍・火縄銃の時代から一挙に大砲、軍艦と対峙しなければならなかった。西欧列強の野望と時の指導者の苦労をこの分野権威保谷教授が詳細に書いた。外圧の構造、攘夷主義と対外戦争の危機、英国の対日戦争準備、下関戦争とその舞台裏が本書の内容である。同国はシンガポール、香港に繋がる点を横浜にと、考えていた。香港に軍艦40、4000人の規模の艦隊を配備していたが、
日本が開国したとたん、それらを大幅に削減した事実からもその野心の一旦はうかがえる。フランス、米国も同じだった。刀槍・火縄銃、ろくな大砲もない国がよくもちこたえた、その外交と軍備の努力、その話だ。現代に置き換えても共通点は幾つかあろう。