ジャレイド・ダイヤモンド著
B5版ハードカバー
草思社刊 2000年 各1900円 各約320ページ 上と下

人類は地球上の各々の環境に合わせて、採取から狩猟、農業と長い期間をかけて発展と続け、つい最近までは先進国と開発途上国と言う分類になっていた。この本が書かれてから新興国と言う巨大勢力が世界を支配しつつあり、過去の先進国の立場は変わってきた。
また世界の多くの国々が抱える矛盾はここにきて一気に爆発しそうな様相である。まさに世界の転換期に差し掛かっている。
この本は13000年前から大陸毎の環境、人類の発達を「上」で、続いて、西欧の発達とそれによるその他世界の支配の背景、それらを「銃・病原菌・鉄」と言う要素で捉えた文明論である。現題も日本語訳を同じで「Guns Germs and Steel」。
10年以上も以前発刊のものだからすでに読まれた人も多いだろう。しかし、この11年間の
世界の変化、特に新興国、例えば、シニフィケーション(中国化)における新たな「銃・病原菌・鉄」は何かと言う観点で読むと発見がある。インカ攻略での銃の数量は多くなかった。威力を発揮したのは剣、槍だったそうだ。結論的に言えば「発明は必要の母」であり、社会的に必要のない文明は発達しない。江戸期の鉄砲を「ギビングアプガンズ」から引用していたが、ある程度事実、ある程度違う、であったかもしれない。
科学としての人類史、銃砲をその一つの要素と捉えている点も興味深い。