戦闘技術の歴史 3 近世編
クリステル・ヨゲンセン他5名著、創元社刊、2010・10 B5版370ページ
価格4500円
「古代編」、「中世編」に引き続き1500年から1763年までの欧州の戦闘の推移とその背景を詳しく述べた学術書。丁度、日本は戦国時代から江戸期であり、欧州は戦乱の時代、それらを対比すると興味深い。「近世」と言う時代は国家の主権、すなわち政治、領土、国民、軍事の意識が欧州で急速に芽生えた頃で、軍事に関しては兵器そのものよりもその使い方が発達した。第一章歩兵の役割、第二章騎兵の働き、第三章指揮と統率、第四章攻囲戦、第五章海戦、各々に出てくるオリジナルの作戦図、図、画が多く、極めて理解しやすい。銃器など細部に記述か訳か間違いがあるのもこれだけの資料だからある程度は仕方ない。
この時代、日本では発達しなかった砲に関しての記述は陸上、海上共に多い。
兵器に関してはこの本の時代以後、産業革命によって飛躍的に発達したので、次号「近代編」も読まねばならない。