竹槍を作り実験する

「竹槍でB-29に対抗しようとした」本気だったのか。本気としたら狂気に近い。
竹槍ってどういうものでしたか、と聞いても竹を切ったものだよ、くらいの返事しか返ってこない。気のきいた答えで、あの明智 光秀を鎧の上からぶすっと刺したものだよ、くらいだ。ウィキには「竹の先を尖らせて焼いて固くしたもの」と書いてあるが、本当に炭化したら固くなるのか、もろくて刺すどころではないのではないか、と言う疑問があった。
陶器製手榴弾では散々反発を受けたが、何にせよ自分で造り、実験してみなければその実力は分からない。先端だけの問題ではないかもしれない。竹と言う素材は木材と同じく反発力はあるが?またベトコンも落とし穴に竹の逆木を植えこんだと。
竹槍の実態:今まで聞いた話のなかでは時代考証家、名和 弓雄氏(故人)のものに真実見があった。
「竹の先を尖らす。その部分を油で揚げる。そうすると固くなり実用になる。あまり長いものは良くない。・・・」と言うような内容であった。「熱い油で揚げる」これは説得性があった。物理的に竹のような繊維質のものが油の熱でどう変化するか。塗料などは熱で固くなるが。その原理は良く分からない。
まっすぐな竹がなかなか見つからない


竹槍製作の手順:
1、 裏山の竹の中から適当なものを切る。実際の槍の太さ直径35㎜ほどのものを選んだ。
2、 長さ250㎝くらいに切り、枝を払う。


3、 先端、75㎜ほど、ここの直径は30㎜ほどを斜めに切り、尖らす。100㎜ほどにも
切ってみたが、細すぎる。槍の穂は普通100㎜くらい。 槍は繰り出しが必要、節は邪魔だ


4、 節が6個あるが、手元から繰り出すのに邪魔なので、本モノの槍のように成るべく滑らかにした。操作は手袋を着用した。ささくれが手に入るととても痛い。
5、 穂の部分を鍋に熱したサラダ油で揚げる。昔、鉱物油はなかったわけだからこれで良いだろうと。温度は400度くらいで数分間、てんぷらの要領。
6、 油にいれるとぐらぐらと


途中ナイフで仕上げる。


7、 さて実験で、杉丸太の椅子、その切断部分を刺してみた。油で揚げてないものと、揚げたものでは、揚げたものは3倍入る。約30mm。かなり手元をもって。 ぐさっと入る


8、 2回刺してみる。先が割れてくる。竹を長く持つとしなりで入らない。これは自分でやってみないと分からない事実だ。
9、 250㎝では長過ぎて、操作できないので、200㎝にする。これでも長かった。本来は
手槍のようにうんと短くしないと。

2mの竹槍

結果:竹槍は実用的な武器にはならなかっただろう。

完成した穂先

人間を刺すにしたら、のど元とか、太もも内側とか、皮膚の薄い、脂肪のない、急所でないと。急所を狙い正確に刺すにはかなりの訓練が必要だろう。また竹は刺殺武器としては軽すぎる、しなり過ぎる。武器兵器はどんなものでもある程度の重さがないと、人間を殺傷するには不適だ。
戦中の話で、降下した米軍搭乗員を竹槍で刺殺したとあったが、もしあの牛革のジャンパーの部分を刺しても通らないだろうと考えられる。
余談、顔を火傷して降下してきた日本軍操縦士を米兵と間違えて竹槍で刺殺したとの話もあるが、本当なら気の毒だ。
一対一なら役に立たないが、一揆のように集団でかかってきたらやはり怖いものだっただろう。以上