二刀流木刀の現実

西欧の剣術は剣を片手で保持するのでもうひとつの手に短剣をもち2振の剣で戦う方式が一般的だったそうだ。
日本の剣術は両手で刀の柄を把握するのが特徴のひとつだ。だが、左右の手に2振りの刀を保持し、戦う方式もあった。それを二刀流と言い、1、大小2振の刀を使う(右手が長い刀、左手が短い刀が普通であろうが)と、2、短い刀を2本左右に保持する、という方式(二刀小太刀流)もあったと言う。

小太刀2振

これらはその型に利用した木刀だが、
いずれも鍔は厚い革で、長いものにはないが、小太刀木刀は身に革帯を巻いて落ちないようにしていた。

また短い刀は小太刀、脇差だけで戦う稽古にも使われた。
どの木刀も古いものであり、使い込まれているが、打ち合った凹みなどはまったく見られない。
二刀流は宮本 武蔵が創始した流(二天一流)と言われているがその後幾つもの流派があった。基本的には一つの刀で相手を受け、ねじり、もう一方の刀で打つであろうが卓越した体力と技が必要であろう。しかし両手を別々に使うのは格闘技にも共通であるが、フェイントを掛ける、多種の技が使える利点があろう。

二刀流を目的とした脇差、鍔の孔に紐を通して手首に括りつける。下は大小の木刀。

特に短い刀2本を両手で使うと軽快に動けたのではないか。
長い木剣 全長90cm、打ち部分長66cm、重量450g
短い木剣 全長54cm、打ち部分長39cm、重量200g
二刀流は日本剣道でも1992年から競技として復活したが、その後に型を示したものとしてはこれらの木刀は古すぎる。戦前のものであろう。
また、これら古い木刀を観察する限り、映画やテレビドラマのように木刀同士で打ち合う稽古もしくは競技はなかったと思われる。