「長篠・設楽原の戦い」
小和田 哲男(監修)小林 芳春(編)「長篠・設楽原の戦い」
吉川弘文館刊 2003年
およそ440年前、世界の戦闘史において始めて鉄砲が主力になった戦いの資料的分析である。
あくまでも客観性に基づいている。と言うのは編集の小林氏は現在の新城市教育長であり、現場に居住しているからだ。銃砲史学会では3回、発表を聴いた。現地にその昔、織田・徳川軍が作った馬防柵を5年ごとに作り替え、愛知県古銃研究会(林 利一氏)の協力で様々な実験も行っている。いつも話題になるのは、「鉄砲の数とその運用」だ。資料、「甲陽軍鑑」、「信長公記」、「長篠記」など各種の記載、そして何よりも同氏が散歩中に見つけた「白い玉」古戦場の当時発射された鉛玉のことだ、その分布などから、地名は変化せよ、変わらぬ地形、そして天正の戦闘、それに思いをはせながら研究した、川と台地の物語だ。外国の博物館では古戦場で回収された、銃弾や砲弾を、売店(ミュージアムショップ)で販売している。日本では聞いたことはないが、各地の古戦場では多くの銃弾が未だに出てくるそうだ。
鉛玉は土に埋まり、時代が経つと白くなる。