「武器と兵器 幕末編」

幕末軍事研究会(著)編
新紀元社
330ページ 2008年

この本の特徴は写真を使用せず300点以上のイラストで、幕末軍備の様子を描いていることだ。当時の写真や絵画などの資料を使用したのであろうが、銃器などは写真で表すのが難しいのでイラストにしたのだろう。1、小銃 2、個人装備 3、火砲 4、幕府と諸藩となっており、特に興味深いのは幕末各地の和洋折衷将兵の姿だ。昔ながらの火縄銃足軽から、洋式なミニエ式小銃を装備した西欧風の兵士まで。当時の日本の将兵は刀を差していた。刀にもいろんな拵えがあり、明治になり西欧風サーベル型軍刀が一般的になった課程も分かる。小銃ではミニエ式小銃、エンフィールド、スプリングフィールドのゲベール銃との差別化が詳しくない。
また数字がない。特に輸入数、製造数、装備数など。
従って規模的に艦艇も含め、日本の幕末軍備の総力が未知である点が残念だ。
私の現在の研究では、嘉永年間、各藩を総動員しても数十万(勿論装備も洋式兵器はほとんどない、特に砲が不足していた)、そして戊辰戦争頃には200万人弱で、かなり西欧式になって小銃もミニエ式7割、騎兵銃1割、残りがゲベールと火縄銃だったのではないか、と推定したが。
当然、この手の資料は細かい間違いが沢山ある。だからかなり予備知識がないとトンチンカンなことになる。