弘前城(津軽藩)の展示
銃砲史学会の9月例会・見学会で青森、津軽藩弘前城に行った。
弘前城は北のほうで現存している珍しい江戸期の門、天守閣がある。天守閣といっても大きなものではない。
天守閣の中には幾つかの参考になる展示があり、鉄砲の類では管打ちに改造された火縄銃、和製の少し小さいゲベール銃、長さ1mほどの山砲の砲身、皮革製の鉄砲入れなどがあった。
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天守閣だから狭間がずらっとあり、その元には武者落としと言われる石を昇ってくる敵兵の頭上に落とす仕掛けなどがある。
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ゲベール銃は全長が125㎝くらいだろう。口径も14から15㎜くらい。
目当てが銃身に付いている。これは火縄銃の方式であり、外国のゲベール銃にはない。ロックを右側から止めてあるが、これは整備しているうちにネジ山が左右同じなので間違えたのだろう。所謂ドンドルピストル的なものは多いらしい。宇田川先生の分析では海防策に対して津軽藩はあくまで和流を洋式にする形式で行ったそうだ。
砲は現地の作だろう。不格好だ。しかし照準器の枠もあり、ライフル6條でアメリカ南北戦争時、1860年代の形式だ。外国のものに比較すると肉厚で重い。
せっかく小型に製作してならもっと軽便にしなければ。全長1m、砲身長850㎝、口径87㎜、砲耳は直径65㎜、長さ67㎜、砲口外径154㎜(峯田 元治氏計測) 架台、車輪の類はないのが残念だが、珍しくバッテリーが付属している。一つは両側から開ける3段の引き出し、細長い箱で、これは火薬入れだろう。もうひとつは万字紋と「長丸」の文字。頑丈な背負い箱だ。
多分砲弾入れだろう。山砲は分解可能、軽便に製造し、砲身、車輪、架台は、馬載、人間がそのまま急な斜面などを搬送した。砲身の後、上部が平らになっているのは砲が傾いてないかを観るためだ。「長丸」と言う砲弾は所謂4斤砲の椎の実型の
ものであっただろう。このバッテリーはどうみても6発くらいの量しかない。
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尾栓のあるライフル砲である。以上