三鬼清一郎著『鉄砲とその時代』 教育社刊 1989年

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古い本だ。以前にも内容を書いたかもしれない。題名に釣られて購入したが、

内容は期待外れ。この学者は古い、多分左翼系かもしれない。中世から近世への民衆の力や行動を「安保反対」に例えていた。16世紀半ばまで、日本は西欧との関係がなかった。日本が欧州からの初めて輸入したのが「鉄砲」、思想が「キリスト教」としている。しかし、文明論なのだ。話題があちこちして具体性に欠けている。欧州が日本にもたらした「明確なショック」の枠が分からない。恐らく彼は鉄砲本体も、撃っているところも見たことが無かったに違いない。

日本の近世への転換の社会的エネルギーはこの本にあるようなチマチマした文明の断片ではない。「ドドーン」と煙と音とともに飛んでくる弾丸の威力だったのだ。

このような本を沢山読んでも歴史の勉強にはならないと助言できる。

この本は元は吉川弘文館刊であった。

 

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「北斎漫画」より

(この項以上)