2-1、一〇〇式擲弾器

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仕組みは小銃弾を発射する際、銃口から抜けるガス(弾丸を発射した後)の一部を上にとり、筒の中に入れた九九式手榴弾を発射するものである。
銃に装着するには銃剣の鍔に横軸が引っ掛かり、擲弾器は照星を痛めない。
まず擲弾器を銃の前方から挿入し、銃身の両側を挟む板の間にばねで拡張する筒を挿入し、その後、横軸で固定する。時間のかかる作業で訓練を積んでも
2分間は掛ろう。
射程はガスポートと角度で方向は筒の白線で調整した。

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この擲弾器に関しては九九式模擬手榴弾(寸法、重量、材質が同じもの)を幾つか製作し、三八式歩兵銃を使い、1995年にアラバマ州のブレビンズ邸で実験した。ガスポートは半開として平均を見た。ほとんど眞上に近い角度で発射した場合は25mくらい上がる。30度位の角度で発射した場合数10m飛ぶ。人間が投擲するよりはるかに距離は出た。
投擲器全長230mm、筒長100mm、口径50㎜。

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模擬手榴弾

肝心の命中精度は、40m離れたところに置いた車両に半分くらいの確立で当たる(危険なのでダンボール箱を使ったが)くらいのものだ。投擲弾が手榴弾なので、戦車や車両より、トーチカ、機銃陣地などを攻撃するものだっただろう。
地面や樹木に当たると弾けて模擬手榴弾を失った。翌年幾つか帰って来た。
昭和17-18年、名古屋工廠、豊田製造のもので、製造番号より推定するに18年末までに2万個、昭和19年はこの手の兵器は多量に生産されたので、推定総計が4万個くらいあっただろう。主に太平洋戦線で使用されたのではないか。

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上部のガスポートを開けたり、閉めたりして射程を調節した。ガスポートを閉めればガス圧は強くなり、遠くまで飛ぶ。通常弾は狙いとは外れるがいずれにせよ敵の方に向かう。
ちなみに昭和17年の製造番号は『10238』で、同18年は『17873』だった。