陸上自衛隊板妻駐屯地第34普通科連隊訪問と展示資料紹介

先週、O市ライオンズクラブの依頼で東部方面隊、神奈川広報のご手配していただき、御殿場の同駐屯地を訪問した。午前中だけであったが、私から行路のバスの中で、現在の日本安全保障状況、予想される変化、自衛隊の役目、課題などを35名の参加者に説明した。
特に、1、西における隣国との緊張 2、日米同盟 3、災害救助などの内容で、15分くらい話すつもりが話終わったら、もう御殿場に近かった。興味深く聴いていた会員も、バスに酔わないように緊張していた人の顔を覚えている。
訪問目的は「自衛隊の人とモノ、そして任務を実際に訪問し知る」と言うものだったが、陸上自衛隊側の説明が懇切丁寧で内容的に合致しており、恐らく会員全員の誤認識、その口から家族や社員、そして他の取引先などへの良い話題となったと確信する。

陸上自衛隊板妻駐屯地は御殿場にあり、街から近い。しかし地味な存在で、約1500名の隊員を有す普通科連隊だ。

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戦前からある34連隊の番号をそのまま保持している。戦前、静岡県には4つの連隊が存在していたそうであるが、中国大陸に進出した一つを除き、他は南方で大きな犠牲を払ったそうだ。

東部方面隊より「結構な資料、展示物があり、勉強になりますよ」とは言われていた。

担当者の方たちも熱心に説明してくれた。確かに珍しいもの、貴重なものが多くあり、展示も努力されていた。

興味あった展示品の幾つかを紹介したい。
1、 人物伝
第三四連隊は明治37年に創設されたが、そのシンボルは日露戦争遼陽戦で戦死した橘 周大中佐であり、「岳南」精神を詠っている。

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(私事、私は県立静岡高校出身であるが、校歌に「岳南健次一千の・・」という歌いだしがあった)
橘中佐の遺品、連隊出陣の着色写真は貴重な資料だ。

井口省吾大将は明治期の軍人だ。静岡県出身で、日清、日露の際、ドイツ留学の経験を生かし、近代戦の作戦、翻訳に功績があった。井口大将の遺品もある。

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もう一人は昭和の軍人で、「日本軍の存在理由は東洋平和維持であり、日中友好」を唱えたが、不幸にもその結果は逆になった。松井石根大将である。立派な遺品一式がある。遺族が近隣に住んでいて、駐屯地資料としての寄贈を受けたそうだが、歴史は巡る、新しい解釈が生まれるかもしれない。その時のために保管して研究に役立つべき、書、刀、被服などであり、民間にあればここのようにまとめて保存できるものではない。

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散逸するだろう。

2、 武器兵器の資料
以前は帝国陸海軍の武器兵器とまでは言わぬとも、通信具、光学機器、訓練用
資材などは行き場がなかった。それらを引き受けたこの連隊の意義は大きい。また知識のある隊員が担当となり展示に苦心している様子もうかがえる。
そのうちに「軍事博物館」的なものが出来れば、ここにある多くのものは展示されることになるであろうと思う。
① 通信機

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九四式六号の一組が一つの箱に収納されたもの。皮革のケースの状態も良い。
真ん中の鞄方式の用途が分からない。空だ。六号通信機、手回し発電機、アンテナ、ヘッドホンセットなどからなるが、帝国日本軍には三号の送受信機が別になったものの中間は観たことがない。折りたたみアンテナには袋があるので、この鞄はヘッドホンセットを収納したものかもしれない。

②六号通信機 単独
珍しいものだが、ここには3台あることになる。

③九一式7㎝砲隊鏡

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観測用のものだ。三脚架がない。

④南方より帰還した九二式重機関銃 消炎器を弾丸が抜けている。特に興味深いのはオリジナルのカーキ色の上に塗られたジャングル色、緑だ。

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⑤南部式訓練機関銃 弾倉がないが。南部にライセンス料を払わず金山が製造したが、軍には収められてなかった。

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⑥2門の訓練用八九式重擲弾筒 どう稼働したのか、どのような訓練弾を使用したのか。鋳物であった。

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⑦3挺の後期型九九式小銃 米軍から返還された当時、私が学生の頃、自衛隊衛兵が九九式小銃を装備していたのを観たことがあるので、多分その残存したものかもしれない。手入れがされていた。

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⑧3挺の初期ヶた九四式拳銃 年号は確認してない。
⑨松下製中波送信機 大型通信機材はあまり見たことがない。
80x60x45㎝

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⑩各種の礼服 これも保存が難しい、このようなところでないと無理だ。

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資料館の入り口

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一般説明は34連隊の災害時の分担地域、静岡県の原発、発電所、変電所、その他施設(東伊豆は除く)、また自衛隊員の生活など、イラク派遣などと特に公共性、緊急性、非代替事象への対応など、詳細にわたった。
普通科連隊は歩兵機能に迫撃砲の装備だけであるが、歴史に関心が深いので
その熱心さには驚いた。

以下は説明を聴く会員

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(この項以上)