大宮駐屯地・化学学校研修

はじめに)
1995年のオウムによる「地下鉄サリン事件」から早20年が経過した。
世界最初の化学テロだった。
あの事件の際、自衛隊が装備していた対サリン薬品、化学部隊の除染などの活躍も記憶から薄れつつある。
大宮駐屯地は大宮駅に近く、高速道路に直ぐに乗れる交通便利な典型的「都市型駐屯地」の一つだ。都市には都市への攻撃、災害対策がある。それに対応している。普通科連隊と化学学校がある。化学学校は自衛隊の数多くある学校の一つで武器学校のようにここで教育を受けた要員は専門職種隊員として全国に配備される。

image001
(大宮駐屯地は戦前は帝国陸軍大宮工廠で光学兵器を開発、製造していた)

1、 化学学校アイ副校長の福島原発事故対応の講話
結論から言うと、質問に答え、原発は日本に必要なエネルギー源であり、技術力で99.99%制御出来る。福島は50%くらいであった。新しいエネルギー源が出るまで、貿易赤字、CO2を垂れ流したまま化石燃料を使うことは出来ない。技術力で日本は何とかしなければならない。と言うことだった。
実際、福島への出動、作業は高い線量との戦いで命がけであったそうだ。第一原発だけでなく第二原発も危険な状況で化学消防車、除染車などが作業した。まさに「現実とは思えない状況」であったそうだ。隊員も作業員も個人的に被ばく量を管理した。
1000ミリシーベルトまでは生命に影響は与えないが、それ以上の数値、爆発、
命の危険もあった。全国の化学部隊600名が投入された。(環境省は現在、1マイクロシーベルトで制限区域を区別しているが、単位が小さすぎるのでは。)
人的被害がゼロであったのは、①政府の判断が早かった、②住民が退避に従った、③人間への汚染が防げた、などの理由による。
爆発でヨウ素とセシウムが排出されたが、ヨウ素は半減期が早い、セシウムは強くない、性格のものだそうだ。
その他、福島原発現状と作業に関しては良い情報を沢山いただいた。

2、 資料館見学
建物は立派だ。主に生物・化学兵器の装備品が展示されている。帝国日本軍の
つなぎ型のゴム衣があった。しかし手袋と足袋が欠落している。(私の収集物にはそれだけはある)

image002
僅か15分間の見学で、帝国日本、自衛隊、外国のそれぞれをじっくりとつかむことは出来なかった。帝国日本は対化学兵器用装備に関しては進んでいたと言われているのに。特に海軍、船舶用、航空機操縦士用ガスマスクは良い展示を
希望する。ゴム衣の向こう側がやはりゴム製であろうが被い型のもの。

貴重なる帝国日本軍の対化学兵器資料の数々

image003

image004

image005

寝ている礼服展示は初めて見た

image006

3、 装備品見学(野外に展示していただき、各々に説明員が付き懇切丁寧に説明をいただいた)
① NBC偵察車

image007

N、放射能、B,生物兵器、C,化学兵器に汚染されたのではないかと言う
地域を最前に進行し偵察する装備品。最新のものであり、乗員は全く外に出ることがなく検知、作業、戦闘が行える。
具体的は放射能線量、携帯生物兵器検査、化学剤などの採取が可能である。
重量は20トンあり、武装は12.7㎜機銃(内部からリモートコントロールする)、後部には続く部隊に、N,B,Cの小旗を落とし危険を知らせる装置がある。
② 防毒衣2種
黒いゴム製の掩体用と、同じく迷彩の戦闘用。重量は6-7㎏あり、通気性はない。従って、汗が靴の半分ほどまでたまるそうだ。ストローが伸ばせて、水分補給が出来るだけでも作業時間は長くなるだろうが。

image008

③ 除染用シャワー天幕
このような簡単な設備でも福島では大いに役に立ったそうだ。

image009

④ 検査器具各種

image010
GPS機能のあるものが多い。
⑤ 除染車両3型
全長7mこのために開発された。3000リッター近い除染液を様々なノズルをスプレーガンに装着、それらを駆使し除染する。

image011

小型、94式は従来型の車両にタンクを装備したもので、各駐屯地にある。

おわりに)
放射能、生物兵器、化学兵器はミサイルなどで攻撃された際、爆薬と一緒に
この平和ボケの国をパニックにするに十分な威力がある。例えば、鳥や豚の
インフルエンザも一応は疑わねばならない。なぜなら源の朝鮮半島、中国に近い九州が一番先に発生するからだ。
これからも化学学校、化学要員や装備品に期待するところは大きいと実感した。
展示、説明いただいた隊員の皆さまに感謝する。
昼食

image012

お昼を食べ、戻った。先輩はチャンポンに汁を掛けず、そのまま焼きソバの出来そこないのようにして食べていた。これは旨くなかっただろう。
普通科連隊駐屯地の食事はカロリーが高く、減量中の私には良くないが。
(この項以上)