自衛隊の食事と米飯 その2 90点の宇都宮駐屯地
先日、日本の自衛隊の食事、通常食もレーションも世界人口の70%が主食としている「米」が鍵だと書いた。自衛隊は米をうまく利用している。
そして米海軍横須賀基地で食べた将校クラブの食事もしゃれていたが、これは
目的が違うとも書いた。
栄養バランスを考えて食べさせる、飽きさせない、美味しい、地元の特色が出ているなどを、採点項目とすると、宇都宮駐屯地の食事(画像)は90点だと思う。私のようなシニアと若い隊員とは異なるだろうが。ここには米は何も見えないが実は重要な要素なのだ。
副菜2種類は煮物とおひたし、両方野菜だった。煮物は根菜類、汁も「10円わかめ」ではなかった。ネギと卵。おひたしは三つ葉とお揚げ。メロンも旨かった。地元のものだ。
そして宇都宮と言えば浜松と並んで「餃子」が名物だ。
主食はどんぶりだ。「餃子丼」は初めて食べた。創作料理か宇都宮料理か知らない。
ご飯は下にチャーシューチャーハンがぎっしり入っている。その上に生キャベツの千切り、さらに上に餃子4個。これに好みのカライものを掛ける。ちなみにこれにはラー油も、何も掛ってない。
土浦駐屯地で聞いた話では担当者は「おいしかった」ときのデータをみて、絶えず新しいメニューを研究しているそうだ。勿論費用との関係もあるし。これで300円くらいだろう。
帝国陸軍では兵一名の米支給は一日6合だった。これは江戸期の生産基準が6合になっていたからだ。(ちなみに統計学的には、人口は米6合の生産量で決まっていたそうだ)いくら江戸・明治期の人間でも米6合は食べられなかっただろう。副食も入っていたからだ。徴兵制を採用した時に決めた。
当時の生活水準から言えば、被服が支給され、米6合と言うのは破格だったのではないか。日露戦争では白米による脚気で多くの戦病死者が出た。本来、その原因を解明すべき軍医、森鴎外は小説ばかり書いていて職務に忠実でなく、
脚気白米論を否定した。帝国海軍の将校はパンを食べていて脚気が出なかったので、海軍は直ぐに白米がその原因と断定したそうだ。森鴎外は小説外では軍法法廷ものだったはずだ。
そして帝国日本軍はジャングル戦闘では米に苦労した。カサが大きくなる、湿気でカビが生える、虫がわく、綺麗な水がない、燃料がない、煙が出て所在を知られるなどの理由だった。特に兵站が伸びきると米の輸送は大変な作業で、ガダルカナル、ニューギニア、ビルマでは餓死者が戦死者を越えた。
現在、徴兵制を実施しても若者に米は何の魅力にもならない。彼らには、「ジャンクフード」を食べ飲み放題にする。一日3時間、携帯とゲームをやり放題にやらす、こんなところが魅力になるのではないか?
(この項おわり)